第40話

Hope
856
2022/03/14 05:31



移動しようと思った瞬間、私のスマホが鳴る

『誰やねん!!』

名前を見ると、『オオカミ』と書いてあった

オオカミ「クジャク、忙しいとこごめんね」
『ううん!!大丈夫!!』
『何かあったの??』
オオカミ「……私たち…他の案内人にできることってある??」
『へ??』

予想外の答えに私は耳を疑う

ペンちゃん「さすがに、案内人が150人近く居るのに今起きてることを知らないってのはないかなって思って」
ペンちゃん「他の案内人全員にメール送ったんだ」

なるほど…確かに、同じヤツに殺されてたら仇をとれない
情報がなければ身動きも取れない

『オオカミさん……』
『私、今からヤツを殺しに行くの』
オオカミ「同じヤツに殺された案内人がまだ天国にいる」
オオカミ「だから、彼らも連れて行ってくれないかな??」
トラ「よう!!お前がクジャクか??」

元気で威勢のいい声が聞こえてくる
恐らく、私の同期のトラさんだろう

『あ、はい!!そうです!!』
トラ「今、案内人は全員がほとんど同じ場所に待機してる」
トラ「みんないつでも現世に行けるぜ」
『150人近くも?!』
トラ「おう!!ペンギンがみんな集めてくれた」
オオカミ「まだ、自分を殺したヤツを見つけられてない人達の手伝いをしてくれるって言うから」
トラ「で、オオカミもさっき行ってたけど…お前と同じヤツに殺された案内人、そっちに行かせていいか??」

みんなが動き始めてる
今日1日で、色んなことが変わろうとしている
協力してくれるって言うんだから
拒む必要なんてない

『うん!!』

シュンッ

カモ「お、君らか」
ハト「カモ先輩!!」
カモ「ハトにインコ、久しぶりだな」
インコ「会いたかったっすよ〜」
カモ「で、この子が……」
『初めまして!!クジャクです!!』
カモ「そうか……」
カモ「俺らも協力するぜ」
ゾウ「一足先に、案内人卒業しちゃおうか」
『あ!!』

ゾウさんって……オオカミさんのお師匠だ!!

ゾウ「オオカミが世話になったね」
『むしろ私が世話になってます!!』
ゾウ「wwww」
ワニ「さーて、行くか」
『はい!!』

『シシリアン・ディフェンス』の現代表
『優真』に殺されたのは
8人
思ってたより少ない


まぁ、もしかしたら把握出来てないだけでまだ他にもいるのかもしれないけど
そんで、みんな似たような武器を持ってる
彼の……愛用の武器だったのかな

色々、複雑な感情を抱えながら
決戦の地についた

『もしかしたら、私たちの姿が見えるかもしれない』
ハト「人は、危機に陥ると色んなものが見えるって言うもんな」
ゾウ「走馬灯とかな」
『今日、私たちは』
『全ての元凶のヤツを消すことが出来る』
『でも、それに加えて「人を殺す」という罪を背負って今後天国で暮らしていかなければならない』
『1度犯した罪は、永遠に消えることは無い』
『それら全てを背負っていく覚悟はいい??』
みんな「おう!!」
インコ「クジャク」
インコ「みんなも」
インコ「行こう」
みんな「うん!!」

この先何が待ち構えてるかわからないけど
みんなの苦しみの種が消えるのなら
喜んで加担しよう

優真「……」
優真「……誰だ」

ゾウ「驚いた……まだ若いじゃないか」
ワニ「20代後半ってとこか??」
『多分ね』

優真「……俺を殺しに来たのか??」

私たちの声がとっくに聞こえてるのかな

優真「それとも亡霊か??」
『どっちもあながち間違ってないわ』

一か八か、声をかけてみる

優真「!!」
優真「……はは……本当にいるんだな」
ワニ「なぜ俺たちを殺した」
ヒョウ「なぜ私たちを刺した」
ゾウ「なぜ俺たちを撃った」
優真「……8年前、俺は生きる目的だった全てを失った」
優真「仲間も、居場所も、仕事殺しも」
優真「なにが正しいのか、自分を突き動かす原動力はなんなのか」
優真「もうなにも分からなくなって」
優真「俺はどんどん壊れていった」
優真「もう…………疲れたんだ」
優真「この8年間、ずっと苦しかった」
『……あなたのせいで殺された人達のことは考えもしなかったの??』
優真「もう……わからない」
優真「罪のない人間を殺すつもりはなかった」
『じゃあなんで!!』
優真「自分のルールに反することばかりして」
優真「殺すつもりのない人間を殺し」
優真「無駄に仲間は増えて」
優真「もう………なにもかもわからない」

精神的にやばいのだろうか
逆に異常がない方がおかしい??
周りを見ても、みんな固まってしまっている
言葉が、出てこない

優真「どうしたらいいんだ」
優真「どうしたら償える??」
優真「元々、お前らは俺に復讐に来たんだろ??」
優真「もう逃げるつもりもない」
優真「殺してくれ」
ワニ「……」
ワニ「死にたいなら自殺でもすればよかっただろ」
ペンちゃん「数年間は、こいつは人を殺してない」
『私は??』
ペンちゃん「……最後にこいつに殺されたのが藍華、お前だ」

なんで
なんでなの??
運が悪かった??
たまたまそこに居たから??
今になって怒りが湧き上がる
確かに、他のみんなと比べて未練はない
でも、理由もなく殺されたとなれば
それ相応の死に方を提供する他ない

フラッ

私はフラフラしながら
ヤツに近づく

ハト「藍華!!」

ポロポロ

なぜか急に涙が出てきた

『私は、どうするのが正解なの??』
『みんなは、どうしたいの??』
優真「いいか??この世に正解なんてない」
優真「今、目の前のことに集中しろ」

目の前のこと……
つまり、私が殺れと??
確かに、みんな意気消沈してる
フリーズしてるんだ
自分を殺したヤツがこんなだったなんて
殺す意欲が失せる
こいつの策かもしれない
でも、これ以上被害者を増やしたくない
その気持ちはみんな同じはず

スッ

私は武器を振り上げる

優真「……ごめんな」

泣きながら、武器を持った腕を振り下ろした






ついに!!終止符が打たれる!!
でも、本当に藍華は望んでいたのかな??
色々、書いててモヤモヤする
どう思うのだろう??どう感じるだろう??
藍華は、本当に笑えるのか??

プリ小説オーディオドラマ