第13話

職業体験
1,817
2021/07/20 11:56



『じゃあ仮に』
『私が案内人やってみたいってなったらどうなるの??』
「お!!興味あります?!」
『仮にって言ったじゃん』
『話聞いてた??』
「あっ、もしもし〜??あの、私の担当してる子が案内人興味あるみたいで〜!!」
『勝手に話進めんなよ……』

私の話を聞けっつーの

〜〜〜〜

そんな私はというと
案内人の体験に来ていた
勝手に連れてこられて
勝手に話進められて
今に至る

『なんでやねんッッッ』
「それでは、藍華さんに𝙌𝙪𝙚𝙨𝙩𝙞𝙤𝙣 !!」
『はいはい』
「ある日、あなたは天国に来る死者の案内人に選ばれました」
「その際、死者の死ぬ間際を見せられます」
「タブレットのようなもので」
『……』
「見ていたら、違和感を感じました」
「すると、現世では自殺とされていたのですが、なんとタブレットで見た時、他殺だったということに気が付きました」
「あなたは目を疑い、もう一度巻き戻して見てみました」
「でも、何度繰り返しても結果は同じ」
「これから担当する死者は、哀れにも何者かに殺された人だったのです」
「上に報告するか迷っていたら、死者が此岸に着いてしまいました」
「報告する間もなく、あなたは死者の元へ行きます」
「……では、質問です。あなたは先程見た事実を、目の前の死者に伝えますか??」
『いきなり質問なんだね』
私は怖くて言えなかった
『え??なんか言った??』
「いえなにも」
「(あなたなら、どうしますか??自分が死んだのは、誰かのせいだと知ったら、その誰かを殺しますか??)」
『……』
『…』
『……言えない』
「なぜ??」
『いきなり天国に来て、状況が一切分からないのに、あなたは誰かに殺されたなんて言われても信じないじゃん』
『だったら、本人が落ち着いてから言うべきだと思う』
「perfect!!」
「私そう思いました」
『……え??』
「だから言えなかった」
『え、ちょっ…待って』
『……ま、まさか』
「そう、今私が質問したのは…紛れもなく」
「あなたに出会う直前の私の行動です」

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