第38話

昔話をしてやろう
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2022/02/18 12:18



『フクロウさん?!どうしたんです?!』
フクロウ「君たちが頑張ってるって聞いて」
『誰に??』
フクロウ「風が教えてくれたのさ」
『???』
インコ「フクロウの言葉は半分嘘だからなー」
ハト「あんま信用しすぎんなよー」
ペンちゃん「……」
ペンちゃん「福山さん……」
フクロウ「シー」
ペンちゃん「……」
フクロウ「仮面をつけてる時は??」
ペンちゃん「…フクロウ」
フクロウ「よろしい」
ペンちゃん「……ごめん」
ペンちゃん「弟が…」
フクロウ「私はあんたの懺悔を聞きにここに来たんじゃないよ」
『じゃあどうして??』
フクロウ「……おい!!ここの家主は客人に茶も出さねぇのか?!」
ハト「へーへー」
フクロウ「それが師匠に対する態度なの?!」
ハト「すんません」
ハト「お茶ね」
フクロウ「今何時だと思ってんだよ??」
『えーと』
『22時??』
フクロウ「酒だろ酒!!」
ハト「酒豪に貢ぐ酒はねぇ!!」
フクロウ「その地下シェルターの中に年代物のワインがあるんだろ」
ハト「うっ」
フクロウ「あれ??おかしいな」
フクロウ「私が間違えたのか??」
ハト「滅相もございませんー」



『それで……フクロウさんはどうして来たの??』
フクロウ「…昔話をしてやろうと思ってね」
『昔話……』
フクロウ「私が生きてた頃の話」
ハト「あーあれだろ??」
ハト「大企業のメイドで旦那さんが執事長だったっていう」
フクロウ「藍華に最初っから説明してあげようとわざわざここまで来たのに」
フクロウ「なんで先にネタバレすんだよ??アホなの??」
ハト「こちら、年代物のワインでございますぅ」
フクロウ「ん、美味しい」
『レアチーズケーキあったからあげますね』
フクロウ「さすがクジャク」
フクロウ「分かってるじゃない」
『えへへ!!』
フクロウ「じゃあ、本題ね…私は、ゲームの大企業」
フクロウ「一ノ瀬家のメイドだった」
『一ノ瀬って……』
『ペンちゃんさん?!』
ペンちゃん「あは☆」
ハト「おま…」
インコ「御曹司だったの?!」
ペンちゃん「天才のな!!」
『あー天狗召喚したの誰だよ』
ペンちゃん「天狗じゃないもん!!」
フクロウ「私の本名は福山佳奈子」
フクロウ「ここで初めて案内人になった人よ」
フクロウ「現世では2人の坊ちゃんに仕えてた」
フクロウ「2人とも明るくて、周りの使用人にも優しくて…みんなそんな2人のことをとても大切に思ってた」

とても優しい顔つきだった
雰囲気が柔らかくなる
でも、仮面を付けているから口元しか見えない
それでも、雰囲気は明るく見えた

フクロウ「でも、ある時から後継者のことで揉め事があって」
フクロウ「次期社長は代々現役の社長が選ぶことになってる」
フクロウ「血統なんて関係なく、実力社会だから」
ペンちゃん「それが始まったのが、俺が就職した歳からだった」
フクロウ「社長の座を狙ってる人が多かったせいで…」
フクロウ「競争がどんどん激しくなって、まだ成人してもない恭平坊ちゃんはとても辛い思いをした」
ペンちゃん「……それは福山さんも…」
『え、なに??話が全然見えないんだけど……??』
フクロウ「ごめんね……年取ると涙腺が…」

ふ、フクロウさんが泣いとる?!
え?!なんで?!

インコ「ほら、ティッシュ!!」
ハト「続けてくれ」
ペンちゃん「社長志望者のうちの1人が、俺と弟の飯に毒を入れた」
『毒?!』
ペンちゃん「即死ではないけど、少しずつ死んでく毒」
ペンちゃん「でも、死んだのは俺たちじゃない」
ペンちゃん「フクロウの……旦那さんだ」
『え』

そうか……そりゃあ泣いちゃうよな……

フクロウ「グスッ……あの日を忘れたことはない」
フクロウ「旦那は……坊ちゃんたちの目の前で…私の目の前で死んだ」
フクロウ「私は、最後まで傍に居ることしか出来なかった」
フクロウ「それから2年後、私は若い男に刺されて死んだ」
『……』
フクロウ「これが、私の現世での出来事」
『旦那さんも亡くなったのに……自分まで死んじゃうなんて……』
『……そんなの…』
フクロウ「不公平……だろ??」
『……うん』
フクロウ「現世は本当に冷たいんだ」
フクロウ「私が死んだ6年後には、恭平坊ちゃんまでこっちに来ちゃうんだもの」
ペンちゃん「あはは……早死しちまったよ」
フクロウ「挙句の果てに檸檬坊ちゃんは私の『目』にも反応しないし……天国に居ない」
『「目」??』
フクロウ「私の特性??かな」
フクロウ「その場所、その人、その物を見れば情報が全部入ってくる」
フクロウ「でも、天国の全てを視て回ったけど」
フクロウ「檸檬坊ちゃんは居なかった」
『でも、その『目』があれば犯人を…』
フクロウ「万能じゃないのよね」
フクロウ「天国でしかこの『目』は使えない」
『そおなの?!』
フクロウ「だから、天国から毎日色んなところを眺めてた」
フクロウ「そしたら、偶然ヤツらのアジトを見つけて」
フクロウ「グループ名が『シシリアン・ディフェンス』だと知った」
『それで…??』
フクロウ「その技は、檸檬坊ちゃんとチェスをした時に私が出した技だった」
ペンちゃん「……あいつは色んなものからインスピレーションを受けて、何かを作るやつだった」
フクロウ「……その手がかりを見つけられたのに、私は何も出来なかった」
フクロウ「ただ、被害者を増やすのみだった」
フクロウ「…ごめんね……私がもっと早く動いてヤツを消していたら……君たちは死ぬことにならなかったのに…」
『……私は』
『突然死んだことは今でもショックだよ』
『でもね、こっちの方が現世の何倍も楽しいの』
『それに、まだ案内人がフクロウさん1人だったのに、手がかりを見つけられたのに、動けなかった』
『そんなん仕方ないじゃん』
『1人なんだもん』
『孤独に抗って仇を取ろうとしてた…希望を捨てなかった』
『確かに「シシリアン・ディフェンス」に殺されて案内人は増えたかもしれない』
『もちろん、死を望んで居なかった人がほとんど』
『でも、犯人が複数いるのに1人で立ち向かうなんて無理だよ』
『ピンチはチャンスなんだ』
『今は人数が増えたから、ヤツらとも互角に殺り合える』
『もう、独りじゃないよ、フクロウさん』
フクロウ「……ウッ…ウウッ……」
ハト「精神年齢いくつだお前」
『知らんわ』

誰だって1人は怖いよ
寂しいよ
でも、もう大丈夫
私たちの代で終わらせて、これ以上被害者を出さないように頑張るから
だからさ
もう少し、私たちに力を貸して









なんか話がこんがらがっちゃった
伝えたいことが多すぎて…
ほんと分かりづらかったら申し訳ない…

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