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第10話

いつまでも続いて欲しい時間
結局、飲み物はみんなで一緒に買った。


最初に買おうと思っていたものと、みんなが全く同じものを選んだときは、なんだか嬉しかった。


パラソルへの道を戻りながら、隣にいる白夜くんを見上げる。


彼も私の視線に気付いて、微笑んだ。
葛葉 白夜
葛葉 白夜
あなた、どうしたの?
あなた

あの……ね。
前はもっとみんな仲が良かったのに、掟のことが分かってから、みんながみんなじゃないみたいで……

葛葉 白夜
葛葉 白夜
うん。
それでさっき、怒ったんだよね。
ごめん
あなた

私こそ、ごめん。
でも、やっぱり仲良くしてほしいんだ


戸惑う気持ちを、初めてぶつけてみた。


白夜くんは頷いて、苦笑いを浮かべる。
葛葉 白夜
葛葉 白夜
うん……だけど、みんな必死なんだ。
あなたにお嫁さんになって欲しいから

そう聞くと、喜ぶべきだしありがたいことなのだろう。


人によっては、「なんて贅沢な!」って言うかもしれない。


けれど、前のような関係が一番楽しかった。


それに、花嫁として望まれているのは私の〝価値〟であって、私そのものではない。
廣内 渉
廣内 渉
嫉妬するのは仕方ねえだろ。
だったら、みんなでいる間は喧嘩とかいがみ合いとか、抜け駆けは無しってことで、ルールを決めればいいんじゃねえの?

私たちの話を聞いていたのか、後ろから渉兄ちゃんが提案してきた。
あなた

えっ


私は間抜けな声を出して聞き返す。


とんでもない単語が含まれていた気がしたけれど、空耳だろうか。
廣内 渉
廣内 渉
なんだよ? それでもダメか?

きょとんとする渉兄ちゃんの背後で、惟月兄ちゃんは焦ったように真っ赤になり、聖くんは大笑いしていた。
あなた

し、嫉妬って言った?

廣内 渉
廣内 渉
ん?
……あっ!!

渉兄ちゃんは無意識に言っていたらしく、慌てて口元を手で覆った。
宝来 聖
宝来 聖
なんだ。
お姉ちゃんは、僕たちの気持ちは知ってるんじゃないの?
夏祈さんはとっくの昔に気付いてるはずだけど……
あなた

気持ち?
花嫁にしたいってこと……?

宝来 聖
宝来 聖
ううん、そうじゃなくて。
あ、これ伝わってないね
廣内 渉
廣内 渉
夏祈さんな……。
あの人にはほんと、かなわねえわ。
今まで俺らが積極的になれなかったのも、そのせいだしな

聖くんや渉兄ちゃんの言い方は、まるでみんなが私を好きだと言っているようで。


うぬぼれでなければ、さっきの嫉妬という言葉も、そういうことになってしまう。


頬が、耳が、急に熱を持ち始めた。
あなた

(つまり、恋愛対象として、ちゃんと見てもらえてるってこと……?)


ほっとしつつも、嬉しいような、恥ずかしいような気持ちが入り交じる。


みんなも、特に惟月先輩は、間接的に告白したみたいになってしまって、照れている様子だ。
あなた

(なんだ。
そっか……そうなんだ)


パラソルに戻ると、遊び始める前に会議が始まった。


一緒に居る間は仲良くして欲しいという私の希望を、みんなが受け入れてくれるようだ。


これ以降、抜け駆けや喧嘩、相手を陥れる行為は一切禁止となった。
葛葉 白夜
葛葉 白夜
今、夏祈さんにもメールで報告したよ。
ルールを破った場合は、夏祈さんから個別にペナルティを課してもらうことにした
廣内 渉
廣内 渉
おわ……。
白夜、えげつないな……
葛葉 白夜
葛葉 白夜
だって、それくらいしないと、喧嘩するでしょ?
俺もするだろうし……
あなた


白夜くんは平然としているけれど、他の三人はやや青ざめて怯えているように見える。
あなた

(お兄ちゃんの何がそんなに怖いんだろう?
あんなに優しいのに)


その後は、みんなで仲良くビーチバレーや水鉄砲、砂の城作りもした。
大峰 惟月
大峰 惟月
あなた、後ろ!
あなた

え? わーっ!

廣内 渉
廣内 渉
よし、そっちのチームはあと惟月だけだな
大峰 惟月
大峰 惟月
うわ。
女の子から狙うなんてサイテー……
宝来 聖
宝来 聖
惟月にぃ、ディスるのは禁止だよ
大峰 惟月
大峰 惟月
……そうだった
葛葉 白夜
葛葉 白夜
惟月くんは足が速いから、難しそう

体の大きい男子に混ざって水鉄砲対決をするのは難しくて、先に離脱してしまった聖くんと一緒に休憩する。


でも、みんなとこうして過ごせるのが楽しくて仕方なかった。


日が暮れてからは、渉兄ちゃんが持ってきてくれた花火を、みんなで遊び尽くした。
あなた

(ずっとずっと、こんな時間が続けばいいのに……)


帰る前に海の家で夕食をとりながら、今日一日を振り返る。
あなた

最初はどうなることかと思ったけど、とっても楽しかった!
一緒に来てくれて、ありがとう

大峰 惟月
大峰 惟月
まあ、確かに悪くなかったかもね

あの惟月先輩ですら、微笑んでいる。


きっと本人は気付いていないだろう。
廣内 渉
廣内 渉
さて、食べ終わったら帰るか
葛葉 白夜
葛葉 白夜
聖くん、ここで寝ないで
宝来 聖
宝来 聖
眠い~

こういう穏やかな時間が好きだ。


それでもいつかは、こんな時間もなくなってしまう。


そう思うと、胸がきゅうっと切なくなった。


【第11話へ続く】