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第15話

廣内渉との一日
あれから数回の勉強会を挟んで、渉兄ちゃんと過ごす日がやってきた。


「迎えに行くから家で待ってろ」と言われ、そわそわしながら約束の時間を待つ。
あなた

(車持ってるし、ドライブでも行くのかな。
それだとデートっぽいかも……)


しかし、それよりも前に、渉兄ちゃんから電話が掛かってきた。
廣内 渉
廣内 渉
『悪い……。
商店街に老夫婦がやってる土産物屋があるだろ?
俺、顔見知りなんだけどさ。
そこのじいさんがぎっくり腰をやっちまったらしくて』
あなた

手伝いに行くの?

廣内 渉
廣内 渉
『ああ。
断ろうとしたけど、ばあさんが困ってるし、放っておけねえわ。
マジでタイミングが悪すぎる。
ごめん……』
あなた

あはは。
そこで私のために断ったら、渉兄ちゃんらしくないよ


いつも誰かに頼りにされていて、自慢の幼馴染み。


快く送りだそうとした時、ひとつ提案を思いついた。
あなた

そうだ。
邪魔じゃなければ、私も手伝っていい?

廣内 渉
廣内 渉
『え、いいのか? じゃあ、やっぱり迎えに行く』

心なしか、渉兄ちゃんの声のトーンが上がったように感じた。



***


土産物屋のおばあさん
土産物屋のおばあさん
だから、ここは日本円で払ってくださいって……。
ジャパニーズエン、オンリー!

土産物屋に行ってみると、おばあさんがひとりで大変そうな状況だった。


今は観光シーズン中ということもあり、外国人客も多く、対応が追いついていないようだ。
廣内 渉
廣内 渉
ばあさん。
俺が対応する
土産物屋のおばあさん
土産物屋のおばあさん
あー、渉くん……!
助かったあ……

渉兄ちゃんの顔を見るなり、おばあさんの顔が和らぐ。
あなた

あの、私もお手伝いします!

土産物屋のおばあさん
土産物屋のおばあさん
あらあ、かわいい子まで連れてきなすった。
ありがとねえ
あなた

いえ……!


それからは、怒濤の来客に三人で対応した。


拙い英語だけれど、カタコトと身振り手振りでなんとか伝えれば、分かってくれるものだ。


一方で、渉兄ちゃんは慣れたように談笑しながら、外国人客に対応している。
あなた

(お兄ちゃんも神社では凄く頼もしいけど、渉兄ちゃんも凄いんだな……)


こんなことができるだなんて、知らなかった。


憧れと尊敬と同時に、ちょっと格好いいと思ってしまう。


なんとか大きなトラブルもなく、土産物屋は無事に一日の営業を終えた。
土産物屋のおばあさん
土産物屋のおばあさん
ありがとねぇ。
ほーんと助かった!
これはせめてものお礼ね

おばあさんは何度も頭を下げ、封筒に日当と思われるお金を入れて渡してきた。
あなた

えっ……。
私が勝手に来たのに、もらえないですよ

土産物屋のおばあさん
土産物屋のおばあさん
それじゃあ私の気ぃが済まねえから。
もらっといてねえ
あなた

あ……じゃあ、すみません。
ありがとうございます

土産物屋のおばあさん
土産物屋のおばあさん
うんうん。
そんで、次の神子みこ様は、渉くんのとこに嫁ぐんかい?
あんた、御堂神社の生まれじゃろ?
あなた

えっ


突然の質問に、私は面食らった。


いつの間に、私が神社の生まれだと気付いたのだろうか。


それに、渉兄ちゃんが花婿候補だということも、この村で知っている人は限られているはずだ。
廣内 渉
廣内 渉
ばあさん、どうしてそのことを?

渉兄ちゃんが苦笑いしながら聞いた。
土産物屋のおばあさん
土産物屋のおばあさん
こん村にゃあ、掟について知っとる年寄りは多いでねぇ。
神社で生まれた女の子は、昔から〝神子様〟ち呼ぶんじゃ。
百年ぶりに生まれた神子様には、花婿の候補者が何人かおるって聞いたけんど、あんたそのうちのひとりじゃろ?
廣内 渉
廣内 渉
……ご明察。
ばあさん、凄いな
土産物屋のおばあさん
土産物屋のおばあさん
ほほほ。
見とったら分かる。
ふたりはお似合いじゃけんねぇ

掟の話をしていたと思ったら、いつの間にか褒められていた。


照れくさくて頬を手で押さえていると、渉兄ちゃんまでも耳を赤くしていた。



***




それから数日間、店主のおじいさんが回復するまで、渉兄ちゃんとふたりでお店の手伝いをした。


老夫婦にはとても感謝されたし、私も貴重な経験ができた。

土産物屋のおばあさん
土産物屋のおばあさん
あなたちゃん、悪ぃことは言わん。
渉くんにしちょけぇ

最終日、そんなことをおばあさんから耳打ちされる。
あなた

(その気持ちはよく分かる……。
本当にいい人だもん)


けれど、はっきりと頷くことはできなくて、曖昧に笑って濁した。


【第16話へ続く】