第21話
三年後の未来へ【エンディング分岐】
あっという間に、夏休み最終日。
聖くんと過ごした日から、結局は人手の足りなくなった神社の手伝いをしたり、兄同伴でキャンプに行ったりと、みんなで思い思いの日々を過ごした。
過去一番に、彼らとの絆が深まった気がする。
夜、学校の支度をしている私を、兄が広間へと呼んだ。
今から聞かれることは、大方予想がついている。
これだけは、最初から言おうと心に決めていた。
兄は涙ぐんだ顔を手で押さえ、しばらく鼻をすすっている。
真剣に聞かれたのに、おかしくてつい笑ってしまった。
両親を亡くして以来、この家では兄とふたりで過ごしてきた。
寂しいと感じることもあったけれど、兄がいて、幼馴染み四人がいて、不自由はなかった。
兄は畳に突っ伏して泣きだしてしまった。
その話は、あやかしについて一通り説明を受けたときに聞いていた。
どんな原理なのかは不明だが、私の持つ力やあやかしの力が影響して、長寿になるらしい。
実感はわかないけれど、その分だけ旦那様と一緒にいられるのだから、怖くはない。
必死に慰めても、兄の泣き顔は悪化するばかりだった。
愚痴を延々と聞きながら、落ち着くのを待つ。
ようやく泣き止んだ兄と指切りをして、抱きしめ合った。
***
それから、約三年後。
私は無事に大学進学を果たし、神職に就くための勉強をしている。
そして今日は、二十歳の誕生日。
御堂神社で、神前式を挙げることになった。
隣には、私が選んだ花婿の姿。
この人と、生きていくことを決めた。
その花婿は――。
【エンディング分岐】
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