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第2話

大事な話
あなた

はい、成績表です

御堂 夏祈
御堂 夏祈
……お、去年より良くなってるじゃないか。
特に数学と英語が伸びたな
あなた

うん。
白夜くんに教わってるから、そのおかげだと思う

御堂 夏祈
御堂 夏祈
そうか。
彼は確か学年トップの成績だったな……

畳の広間に座布団を敷き、そこに正座して学校の成績を報告する。


兄の姿勢はいつも凛として綺麗で、私もつられて背筋を伸ばした。
あなた

(何か話したそうにしてるのに、なかなか切り出さないな……)


兄の顔は強張こわばったままで、私とも視線があまり合わない。


気長に待ちたいところだけど、その前に足が痺れてしまいそうだ。
御堂 夏祈
御堂 夏祈
……あなた、大事な話がある
あなた

う、うん


兄は一度深呼吸をして、ようやく私を見据えた。
御堂 夏祈
御堂 夏祈
今から言うことは、冗談でもドッキリでもない。
真面目に、真剣に聞いてくれ
あなた

……分かった


兄の声のトーンから察するに、あまり良い話ではなさそうだ。


どんな話なんだろうかと、不安で心臓がうるさくなってくる。
御堂 夏祈
御堂 夏祈
この村には、古くから伝わる掟がある。
そのことはあなたも知ってるよな?
あなた

掟って、あの……。
『神社に生まれた女の子は、代々〝あやかし〟の家に嫁入りする』ってやつ?


私が小さい頃から、村の人たちが口々に言っていたことだ。


『あやかしたちは土着の民となってこの村を災いから守っている。その引き換えに、神社に生まれる女子を、花嫁にもらう』と。


遙か昔から存在する掟らしいけれど、私は本気にしていない。


そもそも〝あやかし〟なんてのは空想で、存在しないからだ。
御堂 夏祈
御堂 夏祈
そうだ。
御堂家に生まれた女の子は、あなたが四世代ぶり……約百年ぶりになる。
村にとって待望の女の子なんだ
あなた

それが、どうしたの?

御堂 夏祈
御堂 夏祈
……あなたの花婿候補が決まった。
あなたはその中からひとりを選んで、嫁がなきゃいけない
あなた

…………。
えっ、とつ……?


思考が停止した。


互いに黙ったままの時間が流れ、私は口をぱくぱくと動かしてはいるものの、何も言葉を発せない。


冗談だと思いたかったけれど、兄は嘘は言わないと前置きしている。


生真面目で優しくて、温厚な人柄で、妹をからかって遊ぶような人でもない。


兄の言葉を疑うことはできなかった。
あなた

え。
あ、あれって……言い伝えっていうか、お、おとぎ話みたいなものじゃ……?

御堂 夏祈
御堂 夏祈
そう思ってるのは知ってたけど、今日まで言えなかったんだ。
……ごめん
あなた

だ、だって。
あやかしとかって、信じられないし……

御堂 夏祈
御堂 夏祈
いるんだ。
あやかしは実在する。
人間に紛れて、この村を災いからずっと守ってくれている。
あなたが気付いていないだけで、身近にたくさんいるんだ

思い返してみれば、今までにも村の人たちから「あんたがどこに嫁ぐのか楽しみだねぇ」と冗談を言われていた。


否――冗談ではなく、本当に〝そういう意味〟で言っていたのだ。
あなた

……ほ、本当なんだ?

御堂 夏祈
御堂 夏祈
ああ。
神社に生まれた子どもは、俺もあなたも、神様から特別な力を授かってる。
その力が、彼らに望まれる理由だ
あなた

特別な力……


自分の両手をまじまじと見つめる。


私のどこにそんな力があるのかも分からないし、未だに現実味がない。
御堂 夏祈
御堂 夏祈
もっと早く告げなければいけなかったのに。
あなたを嫁がせると考えると心が苦しくてだな……。
それは本当に申し訳ないと思ってる
あなた

……お兄ちゃん


兄が深々と頭を下げると同時に、家のチャイムが鳴った。


来客だと思い、私が立ち上がろうとすると、兄が引き留める。
御堂 夏祈
御堂 夏祈
開いている。
入ってくれ

兄が玄関に向かって叫ぶと、引き戸が開く音と複数の足音が聞こえてきた。
御堂 夏祈
御堂 夏祈
あなたの花婿候補をここに呼んだ。
候補は村の重役会議で決まったんだ。
候補者は俺が提案して、あやかし側の責任者もそれを受け入れた
あなた

……え?


ただでさえ気持ちが追いついていないのに、未来の旦那様になるかもしれない相手を、ここで見せられるという。


慌てる暇もなく、花婿候補――私の幼馴染み四人が広間に姿を現した。


【第3話へ続く】