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第19話

宝来聖との一日
八月も半ばにさしかかり、夏休みもいよいよ終盤だ。


お盆が終わって、聖くんと過ごす日がやってきた。


勉強会の間も寝てばかりいた彼だけれど、今日ばかりはそわそわしていて元気に見える。
あなた

今日は何する予定?

宝来 聖
宝来 聖
せっかくだからデートしよう?
あなた

……!


家まで迎えに来るなり、首をわずかに傾けながら、ふんわりと微笑む聖くん。
あなた

(なんだろう……。
こう、母性をくすぐられるような感じ……)


デートと言っても遠出はせず、商店街で食べ歩きをするらしい。
宝来 聖
宝来 聖
ショッピングセンターとかの方が良かった?
あなた

ううん。
普段みんなで食べ歩きとかしたことないし、地元だから逆にちょっと新鮮かも


夏らしくかき氷を買って、観光客の波にに混ざって歩く。
宝来 聖
宝来 聖
はい、お姉ちゃん。
あーん
あなた

えっ

宝来 聖
宝来 聖
あれ?
宇治金時、食べたくない?
あなた

食べたいけど、恥ずかしい……

宝来 聖
宝来 聖
普通、膝枕の方が恥ずかしくない?

だから首を傾げるな、と言いたいほどに、聖くんのおねだりに私は弱い。


恥ずかしさをぐっと堪え、人目も憚らず、私はえいっと口にスプーンをくわえた。
あなた

あ、おいしい

宝来 聖
宝来 聖
お姉ちゃんのイチゴミルクも食べたい
あなた

しょうがないなあ……


しかし、ちょうどそこは土産物屋の前だったらしい。


聖くんに食べさせたところで、おばあさんとふと目が合う。
あなた

あっ

土産物屋のおばあさん
土産物屋のおばあさん
あら、あらあら~!
まあまあ!
あなた

こ、これは違うんです……!

土産物屋のおばあさん
土産物屋のおばあさん
恥ずかしがらんでいいよぉ。
渉くん以外にもいい人がおったのねぇ

誤解を解こうとする私の肩を抱き寄せて、聖くんはニッと笑って見せた。
宝来 聖
宝来 聖
僕、将来、旦那になるつもりなので
あなた

ひ、聖くんっ!

土産物屋のおばあさん
土産物屋のおばあさん
やぁだ、若いっていいねぇ~。
これ以上はお邪魔だから、退散せんと

囃し立てられて誤解も解けぬまま、聖くんは上機嫌で先に歩き出す。
あなた

(年下だからって油断してた……。
魔性だ……)


でも、そんな彼にだって秘密はあるようで。


これまでの三人にはあやかしの姿を一部見せてもらってきたけれど、惟月先輩は「聖が自分から言うまで、待ってやって」と気遣っていた。


何かしら事情があるんだろうと思うのに、その一方で、興味は膨らんでいる。
宝来 聖
宝来 聖
ねー、こっち鯛焼きがある!
食べたい。
半分こしよ?
あなた

うん


こうして接する分には、彼らは本物の人間に見える。


それだけで良かったはずなのに、今はもっともっと彼らのことを知りたいのだ。



***



満腹になって、商店街近くの川辺へとやってきた。


夏にはみんなで魚釣りをしたこともあるが、ふたりで来るのは初めてだ。


周囲には人影もなく、蝉の鳴き声と川の音が響く。


木陰に座って涼もうとすると、眠くなってきた聖くんは、いつも通り私の膝に頭を乗せてきた。


その横顔を眺めながら、貘として悪夢を食べる彼に、気になっていたことを聞いてみる。
あなた

そういえば、私の悪夢ってどんなの?
全然覚えてないから、知りたいんだけど

宝来 聖
宝来 聖
うーん。
漠然としてて、内容までは分かんないかな。
貘だけに
あなた

どうしたの聖くん、面白い

宝来 聖
宝来 聖
あはは。
まあ、お姉ちゃんのが一番美味しいから、ついいつも食べちゃうんだよね。
一度くらいは、悪夢も見てみたい?

そう問われると、頷けなかった。


両親を亡くした後、兄が悪夢に苛まれていたのは知っている。


その時、自分だけ全く悪夢を見なかったのは、彼のおかげだったのだ。
宝来 聖
宝来 聖
ねえ……。
僕の本当の姿、気になってるんでしょ?
本心はそっちが聞きたかったんじゃないの?
あなた

え?


珍しく神妙な顔で、聖くんは私を見上げていた。


【第20話へ続く】