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第12話

決して逆らえない人
日が暮れ始め、勉強会も終盤にさしかかった頃。
御堂 夏祈
御堂 夏祈
ただいまー。
課題は進んだか?
あなた

お帰り、お兄ちゃん!
かなり進んだよ


兄が仕事から帰宅すると、聖くんは慌てて私の膝から飛び起きた。
大峰 惟月
大峰 惟月
うわ、万が一のペナルティは神回避……
宝来 聖
宝来 聖
惟月にぃ、黙って
大峰 惟月
大峰 惟月
要領のいいやつ

小突き合っているふたりも一緒に、みんなでバーベキューの準備を手伝うことになった。
御堂 夏祈
御堂 夏祈
みんな、どのくらい進んだんだ?

兄の問いに、まずまずと答えられたのは五人中、四人だけ。


手こずってばかりで、あまり課題が進まなかった惟月先輩は、白夜くんや聖くんとの差に落ち込み気味だ。
大峰 惟月
大峰 惟月
はあ……勉強とかもう嫌
あなた

誰にだって得手不得手はあるんだから、ちゃんと頑張って取り組んだことを評価しようよ。
私も勉強は得意って言えるわけじゃないから、先輩を見てたらもっと頑張ろうって思えたよ

大峰 惟月
大峰 惟月
な、慰めなくていいから……!

惟月先輩のことだ。


みんなに格好悪いところは見せたくない、という気持ちがあっただろう。


少しでも前向きになってほしくて声をかけたけれど、顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。
あなた

じゃあ、もう勉強会来ないの?

大峰 惟月
大峰 惟月
べ、別に来ないとかじゃないし。
ここだとなんか捗るから、今後は勉強会以外で来ても……
葛葉 白夜
葛葉 白夜
俺が教えようか? 三年生の内容まである程度分かるから

惟月先輩がもごもごと言いかけたところで、白夜くんが真顔で割り込んできた。


先輩の顔が、再び真っ赤になる。
大峰 惟月
大峰 惟月
誰が年下に教わるか!
葛葉 白夜
葛葉 白夜
……だって、抜け駆けはだめ
大峰 惟月
大峰 惟月
おまっ……。
これだから勉強のできるやつは!
御堂 夏祈
御堂 夏祈
はいはい、みんな頑張ったんだな。
肉を食べろ、肉を

庭に道具一式を準備し、兄が炭に火を点けると、あっという間にバーベキューの始まりだ。


朝の内に兄と一緒に仕込んでいた材料を運ぶと、いつの間にかおにぎりに混ざっていなり寿司が増えている。
あなた

あれ……。
いなり寿司がある

葛葉 白夜
葛葉 白夜
いなり寿司……!
やった……!
御堂 夏祈
御堂 夏祈
白夜くんの好物だったよな。
いつも妹に勉強を教えてくれるから、そのお礼だよ
葛葉 白夜
葛葉 白夜
あ、ありがとうございます!

白夜くんが油揚げを好きなのはみんなが知っているけれど、ここにきて私もその理由に気がついた。
あなた

(もしかして、白狐だからおいなりさんが好きだったんだ……!?)


やっぱり、まだまだ私は彼らのことを知らない。
葛葉 白夜
葛葉 白夜
おいなりさん、おいしい……
あなた

ふふ、よかったね

廣内 渉
廣内 渉
ほい、焼けた。
あなた、これも食べろ
あなた

ちょ、ちょっと待って。
まだ前のが……

大峰 惟月
大峰 惟月
こーらー、聖起きろー!
肉を食べな!
ここで寝たら失礼だろ!
宝来 聖
宝来 聖
集中力使い果たした……も、無理……もご……
あなた

あはは


白夜くんは肉そっちのけでいなり寿司を食べてるし、渉兄ちゃんは私にどんどん焼けた具材を渡してくるし、惟月先輩は眠そうにしている聖くんを起こして、無理矢理食べさせている。
あなた

(カオスだ……。
けど、こんなに楽しくていいんだろうか)


いつか、みんなと離れ離れになっても、きっとこの経験が私の支えになる。


寂しい思いはあるけれど、彼らを自分の花婿候補として、しっかり見ていこうとようやく決意できた。
御堂 夏祈
御堂 夏祈
ああ、そうだ。
来週からはそれぞれあなたと過ごしてもらう予定だけど、各自節度を守るように

兄からそんな話がされると、楽しんでいた三人も、眠そうにしていた聖くんも、急に背筋を伸ばした。


海でもそうだったけれど、みんな兄が絡むと、途端に緊張するような気がする。
あなた

(もしかすると、みんなはお兄ちゃんに逆らえない……?)


御堂家の当主である兄に、目に見えない強い力があると知ったのは、この時が初めてだった。


【第13話へ続く】