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第17話

大峰惟月との一日
また時は過ぎて、満月の日がやってきた。


今日は惟月先輩と過ごすことになっている。


この日のために、惟月先輩は必死で学校の課題を終わらせた、というのを渉兄ちゃんから聞いた。
大峰 惟月
大峰 惟月
え、片付けしてたの?
あなた

うん。
だって惟月先輩がうちに来るって言うから

大峰 惟月
大峰 惟月
ふーん……。
ちょっとくらい緊張してるのかと思ってた

掃除機をかけていると、惟月先輩がやってきた。


満月の日はいつもうちでお月見をしているが、今日はどうなのだろうか。
大峰 惟月
大峰 惟月
これ、白玉粉ね。
それから、黒蜜と餡子あんこときな粉
あなた

あはは。
やっぱり、お月見だね


それなら毎月やってるのと変わらないけれど、変化のなさを望むのも、惟月先輩らしいと思う。


笑った私を見て、惟月先輩はかわいい顔を膨らませた。
大峰 惟月
大峰 惟月
き、今日だけはあなたのお願いを何でも聞いてあげる

今思いついたであろう提案を、付け加えてくる。


素直じゃない彼には、こちらもたまに意地悪したくなることがあって。
あなた

へえ、何でも?
じゃあ、久しぶりに『惟月兄ちゃん』って呼ばせてもらおうかな?


彼だけ、惟月先輩と呼んでいるのは、互いに中学に上がった頃にそう呼べと言われたからだ。


昔は、渉兄ちゃんと同じように呼んでいた。


なぜ彼がそう言い始めたのか、理由は知らない。
大峰 惟月
大峰 惟月
くっ……。
何でもは言い過ぎた
あなた

冗談だよ

大峰 惟月
大峰 惟月
べっ、別に、僕ができることなら何でもいいけど……。
兄ちゃんとでも何とでも呼べば?

撤回したかと思いきや、冗談だと伝えたら譲歩したり、本当にいつも素直じゃない。


つい、小さな笑みが零れた。
あなた

といっても、お兄ちゃんの予定表のおかげで、課題も終わっちゃったし、家の中じゃ特にすることないんだよなあ。
惟月先輩は?

大峰 惟月
大峰 惟月
僕も特には……
あなた

あ、じゃあ。
せっかくだから、先輩の本当の姿をちょっと見たいな

大峰 惟月
大峰 惟月
……うっ

駄目元でそう頼んでみると、惟月先輩は顔を強張らせた。


あれだけ嫌だと言っていたのだから、叶えられなくても仕方ない。


しばらく左右に目を泳がせて、惟月先輩は観念したように項垂れる。
大峰 惟月
大峰 惟月
……分かった
あなた

えっ、いいの!?

大峰 惟月
大峰 惟月
いつか、見せないといけないとは思ってた。
隠し事をしたまま、花嫁になってもらおうなんて、不誠実だし

そういうところが、惟月先輩らしいなと思う。


素直じゃないけれど、真っ直ぐでいたいという気持ちは強い。
大峰 惟月
大峰 惟月
ただし。
絶対、かわいいって言わないでよね?
あなた

わ、分かった。
言わない


ふたりきりの広間の中央で、惟月先輩は一瞬にして兎の耳を出した。


ピンと伸びた耳を予想していたのだけれど、それに反して髪の隙間からは白くて長い垂れ耳が見えてい
る。

よく見たら尻尾も丸くてふわふわしたものが生えているようで、普段の彼の態度とのギャップに、頭を殴られたような衝撃が走る。


中性的な見た目の彼に、兎の姿はとても似合っていて、不覚にもキュンとしてしまった。


【第18話に続く】