『あなたちゃん、着いたよ』


RMさんに起こされ、Vさんはまだ眠いのか目をこすりながら私の腕を掴んで飛行機の外へ降りた。


『ここがアジトだよぉ〜』


アジトと呼ばれるこの建物は、思っていたよりも大きいけどひっそりとした場所に建てられている。


『中入ろ』


ボムギュさんとRMさんとVさんを見ながら履いていた靴を脱いで、揃えた。
家の中では靴を脱ぐって本当なんだ。
私はずっと履いたままで寝るときやお風呂の時だけ脱いでいたから家の中で靴がないのは違和感があった。


『あ、Vさん、RMさん。今SUGAさんが結構機嫌悪いので気をつけてくださいね』
『え、SUGAさん機嫌悪いの？またジョングガなんかやった？いや俺？分かんないやばい殺されるかも俺死ぬ』
「え…」
『あのね、SUGAさん怒らしたらやばいから！目で殺される！』


SUGAさん。また新しい人だ。
目で殺される…？
取り敢えず、怖い人だということは分かったけど…


『V、誤解を招くだろ。SUGAさんは変な事しなければ別に怒らないよ』
「そうなんですか」


Vさんが恐る恐るドアを開けると、少し開けたところで逆に内側から勢いよく引っ張られて、ドアノブを握っていたVさんに腕を掴まれていた私もこけそうになった。


『なんでそんなゆっくりなんだよ』
『あ、いや〜、サプライズ？』
『そんなんいいから早く座れ』


この人がSUGAさんなのだろうか。
どうやら内側から開けたのはこの人らしい。

『お前があなただな。取り敢えず、Vの隣に座ってくれ』
「は、はい」

見る限り、ボムギュさん、RMさん、Vさん以外に男の人が5人いる。
そしてさっきドアを開けたのがSUGAさん。あと、ユンギヒョン？とかジョングガとか言ってた。
誰が誰なんだろうか。

するとさっきのドアの人が私の方を向いて話し始めた。

『聞きたいこと、なんでも聞くけど何かあるか？いや、聞きたいことしかないか』

あるけど…
どれから聞いたらいいかが分からない。

「まず、私は何故こんなことに…？私は誰なんですか…」
『あぁ。お前の名前があなたなのは知ってるな？』
「はい、」
『歳は？』
「分かりません」
『歳は、2000年生まれだから17歳だ。あの一緒に住んでた女は家族ではない。ただの世話係みたいなもん』
「貴方達は誰なんですか？」


するとまた違う人が私の方を向いて話し始めた。


『これは俺が説明するよ。まず、俺らはいわゆるマフィア。BTSって言う7人グループ』
「7人…？」

ここには男の人が8人いるけど…

『あ、この子。飛行機操縦してたボムギュはBTSじゃないんだ。メンバーじゃないけど手助けしてくれてるんだ』
「🐻ボムギュです。2001年生まれなんですけど、3月生まれなので学年は同じです！よろしくお願いします！」

「🐹で、僕がキムソクジン。コードネームはJIN。最年長だから聞きたいことあればなんでも聞いて？まぁアジトにいることは少ないけど」

マフィアの説明をしてくれたのがソクジンさん。笑顔…ではあるけど貼り付けたような崩れない笑顔でずっとニコニコしてる。
さっきから。


はい、次と促すようにソクジンさんは顎で他の人をしゃくった。

「🐭俺はミンユンギ。コードネームはSUGA。計画立てるのとかやってるから基本アジトにいる」

この人はさっきドアを開けてきた人。
SUGAとユンギヒョンと言う人は同一人物だった。本名がユンギさん、コードネームがSUGAさん。

「🐴僕はホソクだよー！ナンバーがJ19940218。コードネームはJ-HOPE！よろしくね〜」
「ナンバー…？」
「🐭あぁ、こいつはBlackSwanが開発したAI搭載のwhailenっつー、半人造人間なんだわ。自我持って生まれてきたことによって逃げ出そうと思ったらしくて、俺が拾った」


ウェイリアン。
半人造人間。
慣れない言葉が飛びかって一度に理解するのには時間がかかった。
確か、人造人間はロボットみたいなものだから…半ってことは半分はまだ人間のままで半分が機械ってことかな。

「🐨で、俺はキムナムジュン。コードネームは知ってると思うがRMだ。よろしく」

ナムジュンさん。
私が逃げ出す時に乗った車を運転してくれた人。さっきは眼鏡をかけていたけど、頭が良さそうで優しそうな人だ。

「🐥僕はパクジミン！コードネームはJIMIN。テヒョナと同い年だよ！よろしくね」


この人も優しそう。
ただ、目の奥まで笑っていないような気がして少し怖い。
私を歓迎していないようにも見える。

「🐯で、俺はキムテヒョンでV！聞きたいことは、なーんでも聞いて！困ったら僕が助けるし！」


口を四角くして笑いかけてくれる。助けてもらった時も思ったけど、なんだかこの人は人を安心させる力みたいなのがある気がする。

「🐰チョンジョングクです。コードネームはJungKookです。よろしくお願いします」

彼がジョングガことジョングクさんか。
この人はさっきから表情が一切変わらない。言葉遣いも、私の方が年下なのに敬語を使って話してくれている。

「🐹取り敢えず今日はここまでにしよう。また明日から少しずつ話を聞いていくね。じゃ、かいさーん」

「🐭待て。テヒョン、お前外で名前使ったんだって？」
「🐯え、あっ、ナムジュニヒョンですか！？ボムギュ！？」
「🐭使ったのかよ… 毎回気をつけろって言ってんじゃん。お前次やったら容赦なく雑用させるからな」
「🐯は、はい…」

どうやらユンギさんの機嫌が悪かったのはこの事を知っていたかららしい。
しかも前の仕事でも使ってしまったとか。

「🐹あ、あなたちゃんのお世話係誰にしようか。誰がいいとかある？」
「🐯俺は！？」
「🐭お前はダメだ」
「🐯なんでぇ！」
「🐭名前の、反省しろ」
「🐯ちぇっ」


テヒョンさんがダメなら…
誰がいいかな。


「🐹じゃあジョングガで。1番年も近いし。ボムギュは学校とかあるしね」
「学校、行ってるんですか？」
「🐹ボムギュは表の世界の子として生きてるから、学校も行くしバイトも普通にしてるよ。余裕がある時にこっちも手伝ってくれるの」


学校は友達がたくさんできる場所だと読んだことがある。
友達なんて全くいなくて、少し憧れてはいたけど私はいけないもんね。


「🐻じゃあまた今度、学校の話とかしてあげる！」
「ほんと！？」
「🐻うん！あなたヌナのために！」
「ヌナって…慣れない、」
「🐻いいじゃん！僕ヌナって呼べる人が居ないから使ってみたかったんだ〜」


「🐹よし。じゃあジョングガ、部屋に案内してあげな」