「ふぁぁ……」
「あなたちゃん。あくびしてるの珍しいね?」
「何か今日はヤバイくらい眠くてさ。仁花ちゃんの頭借りちゃうかも」
「あはは、全然良いよ。どんと使って!」
仁花ちゃんめちゃめちゃいいこや。
早朝につく予定のため、出発は夜中。前の遠征と同じ感じ。ただ、今回は東京じゃなくて埼玉らしい。
バスに乗り込み仁花ちゃんの隣に座る。
宣言通り、出発してから5分で寝た。ガッツリ仁花ちゃんの頭に持たれてた。申し訳ない
「んー………!長旅はしんどい」
バスから降りてぐいっと体を伸ばす。
うわ……蚊だ
ぱしんと蚊の止まった腕を叩く。隣にいた仁花ちゃんをビックリさせてしまった。
「今日の一試合目は梟谷か」
ピーとホイッスルのあと、梟谷のサーブから始まる。それを西矢先輩があげて………
「っ……」
今のトス………何か違う??
止まった…か?
あぁ………なるほど。そういうことね
「へぇ……おもしろ」
「?」
「何でもないよ、仁花ちゃん」
きょとりと首を傾げている仁花ちゃんに気にしないでと手を振る。
日向も空中での判断力が上がった?
東峰先輩のサーブはおしいな…あとちょっと
あぁあぁ……シンクロ攻撃もバラバラ
「はは…さすがに最初から上手くいくわけないよね」
ふーん、いいな。おもしろいチームになりそう。
「今回のペナルティは森然限定、爽やか裏山新緑坂道ダッシュ、だそうだ」
「うはっ、きっつー」
「あなたもするか?」
「は?!しませんよ!絶対やだ!」
澤村先輩、すごい笑顔でひどいこと言うな。今回の合宿で何かやらかそうもんなら走らされそう。おとなしくしとこ……
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!