「なっ…誰だよお前っ!!」
「まぁまぁ。女の子に乱暴はダメだよ」
誰だこの優男。身長でか……堅くらいあるよね?
たぶん世間一般でイケメンに分類される人。白のジャージがよく似合ってますね、なんかムカつくけど
てか……結構本気で殴ったから手のひら痛そうだけど
じーっと見てたら、急に目が合う。
あれ?さっきの奴等いなくなってんじゃん
「あ、そのジャージ烏野バレー部?」
「え?まぁ、はい……」
知ってる人?ライバル的な学校とか?
「へぇ、いつ入ったの?」
「は……?」
なにこの人……いい人かと思ったら、この人もナンパ??
え?逃げて良い?
「クソ川!!」
「部活中にナンパ??主将のくせに最低~」
「あり得ないんですけど~」
「違うっ!!逆に助けたの!」
ぞろぞろとやって来た集団は、目の前の男の人と同じジャージを着ている。
「あれ?烏野じゃん」
ピンク頭の人と目があって、さっきと同じことを言われた。
えー……やっぱり知ってる感じじゃん…
どうしよ、どうしたらいい??
「へぇ、新しいマネージャーとか?」
「マジかよ……俺ら一人もいないんだけど」
「及川のせいでな」
「えっと………」
帰っていい?
「あー悪い」
「俺ら青葉城西のバレー部なんだけど、話聞いてねぇ?」
「全然」
首を横に振る。だって聞いたことないもん。
「仲良いんだよな、烏野と」
「そうそう。練習試合とかもしたし」
「良きライバル的な?」
「へー。そうなんですね」
「なぁ、名前教えて」
ピンク頭さんにそう言われて、一瞬躊躇うけどまぁ仲良いなら……と自分の名前を口にする。
他の人すごい笑ってるけど、どうした?及川……さん?が何か言ってるのに、他の人に押さえ込まれている。
「あなたちゃんね。つか、マジで女子マネいいな」
「はぁぁ、及川目当てしかいねぇんだもん」
「マジふざけんなよ、クソ及川」
「さっきから酷くない?!」
ギャンギャン騒ぐたぶん3年生の人たち。すごい仲良いんだろうなってのは分かる。
「あの……部活なんで、行ってもいいですか?」
「あー、いいよ」
「引き留めてごめんな。うちのクソ川が」
「だから酷くない?!」
「あなたちゃんまたね!」
「大会で会おうな~」
後ろからかかる声に振り向いてぺこりと頭を下げてから、駆け足で学校に戻った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。