第3話

すでにホームシックかもしれない
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2021/09/27 08:34
「私、宮城に行くから」と東京卍會及び天竺の面子の前で堂々と宣言をし、多数の犠牲者を出してからはや数ヶ月。

ピンクゴールドの髪に、両耳ピアス、首にヘッドホンをつけて、校則違反のパーカーを着ている私。

容姿のせいかビビられまくって、友達らしい人はできてはいないものの、充実した日々を送っていた。


ただ、何か物足りない



そりゃ、東卍の面子はいないし。昔からの知り合いなんて一人もいない。家族とも離れ、ひとりぼっち。


これが俗に言う、ホームシックか。



イザ兄とエマは元気かな……


と言っても、毎日電話してるのだけど。



電話口では、真一郎が今からでも帰ってこないかとうるさいし、万次郎はキレてるし、イザ兄は万次郎の文句ばっかり言って、エマにも騒がしい家族の愚痴をこぼされる。


うん?

私はカウンセラーか何か?



さらには、家族だけじゃなくて東卍のメンバーとも電話ばかりしていたりもする。


場地、一虎、千冬は何故か大体セットでかけてくる。基本、場地の携帯で。
場地が一虎と千冬、それぞれと仲が良いのは一目瞭然だけど、一虎と千冬はまぁ喧嘩しかしないくらいには仲が悪い。くせに、いつも一緒にいるのだから不思議だ。


隆は妹たちの世話が終って、寝かしつけた後にかけてくる。基本的にこちらも愚痴をこぼす。「マイキーが……」とか「ドラケンが……」とか。東卍のメンバーに対するものと、「灰谷がちょっかいかけてきてウザい」と言うものまで。
おかんにも捌け口が必要なのだと、黙って聞くことにした。あっちにいたときは私もそのポジションだったから痛いほど気持ちは分かる。


堅の電話は、エマかマイキーの話。堅がエマを好きなのをずっと前から知っていたし、いろいろと相談されていたからか惚気話に付き合わされる。いや、これは付き合う前からだ。しょうがない、大事な妹の話だからな…と聞いているが、胸焼けしそう。私も彼氏がほしいかもしれない…

やっぱり、要らない。
行動が縛られるのは嫌いだ。



と、まぁ大体創設メンバーから一日ずつ交代でかかってくる。同じ日にかかってくることがないので、裏で合わせてるのかと聞いてみればすっとんきょうな回答が返ってきたから偶々だ。


どんなとこで意思疏通してるんだよ……

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