「君が見つけたの?」
たぶん私と同じくらいの小学生の男の子が警察を呼んでくれて、しばらくしたらサイレンが聞こえた。優しげな警察官に第一発見者?ということもあり、詳しく話を聞かれた。
自分が見たまま伝えて、
「あ、写真……」
撮っていた写真も警察官に見せる。
その写真があったからか、犯人はそれから数日後に捕まった。
火傷をした手を見た若い警察官が、病院まで連れていってくれて、そこでちゃんとした処置を行ってもらう。
うん……後悔するくらい痛かった…泣きそう
警察官から連絡をもらった真一郎が、まぁ慌てて真っ青な顔で病院に駆け込んできた。看護師さんに怒られてた。
その後に、さっきの女の人と両親らしき人が来て、それはまぁ感謝された。「病院代はこちらで払います」と言われたけど、真一郎は断っていた。壁も結構燃えてたらしいから、それを直すのに使ってくださいって。
そのときの私、すごい眠かったせいもあってか、ふらふらでほとんど覚えてない。
もう一人いたらしい男の子には会えなくて、赤音さん…というらしい。人にもそれきりほとんど会わなかった。
こっちが小学生だってこともあったし、そもそも家が遠いからすれ違うこともない。
まさか、それが数年後に再開するなんて思わないよね。
あの家はイヌピーの家で、赤音さんはココの想い人だったらしい。
ココもイヌピーもまだあのときの少女が私だと気づいていない。
あのときは髪長かったし、顔をあんまり見られてないだろうし。
ちょっと恥ずかしいから一生気づかなくていいや。
てかね。
今思えば当時の私、すごいなって
たしかその時、警察ドラマとかにハマってたんだよね。だから、犯人の写真とか撮ってたんだと思う。
いやほんと、すごいな
ちなみに。
火傷は結構ひどかったらく、しばらく痛み止めを飲んで生活した。しかも利き腕だったから、真一郎の世話焼きがしつこかったのは覚えてる
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。