背中側で拘束された腕
無理矢理引き裂かれたTシャツ
Tシャツが破かれたことではっきりと見える腹部には殴られ、蹴られ、踏みつけられてできた痣。
煙草の火も押し付けられ、火傷もした。
趣味悪すぎんだろ、クズどもが……
マジこれ、ほんと、他の人にもしてんの?してたらぜってぇ許さねぇ
気持ち悪い手付きで素肌を触られ、吐き気がする。
「白い肌にこんだけ痣があると興奮するよな~」
「そりゃあんたの性癖ねじ曲がってるだけだから」
同意を求めるな。私は別にサディストじゃないから、痣なんか見て興奮しねぇわ。なんだと思ってんだ。
「じゃ……
ガシャン!!!!!!
「っ?!」
「なんだ!!」
「はぁ………やっと来た…」
薄暗かった倉庫に一気に大量の光が差し込む。眩しすぎて目がチカチカするわ。けど、来た人間なんか分かってるから。
「あなた~?いい格好してんな~」
「兄貴……」
「分かってるよ。取り合えず半殺しな~」
蘭くんと竜くん
「あ゛??俺の妹に何してんの?」
「俺のに何してんだ?」
イザ兄と万次郎
「あなたさん?!」
「うわあ゛ぁ…!!!あなた~!!」
千冬と場地とカズちゃん
「あなた、大丈夫か?!」
「うわ…最低ですね…」
それに黒尾先輩と赤葦先輩たちバレー部の人も何人か
いやいやみんな一斉に話すな
取り合えず自己紹介から始めようか?困っちゃうでしょ
「残念。タイムオーバー。私の騎士が来ちゃった」
ナイトとかそんながらじゃないけど。
どこにいようと、誰に捕まろうと助けに来るんだもん。私はどこぞのお姫様か。
「チッ……!てめぇら、この女がどうなってもいいのか?!」
「あ゛…?」
「あなた~…ちょっと待ってて………全員殺すから…」
あら~
カズちゃんがメンヘラ化している…大変
でもね~
「っ!!!
………っがは!!?」
首もとに突きつけられたナイフが軽く動く瞬間。振り上げた足が綺麗に後頭部に入る。
「だーかーら。もう終わりだって。さっきまで大人しくしてたけど、もういいよね~。取り合えず全員あそこ潰すから待っとけ」
ひんやりとした冷たい笑みを浮かべれば、ごみどもは顔を青くさせる。
「とりま。誰か縄ほどいて?」
「はーい!」
「さすが忠犬カズちゃん。良い子ね~、あとで頭撫でたる」
「やった!」
やだ
何この子、超可愛いんですけど
「は~、きっつ……じゃ、やろっか~」
ようやく解放された手をぷらぷら動かす。
「いや、待て待て待て。せめて前隠せ?!」
「え?気にしない気にしない」
「恥じらいを持てよ!!女の子だろ?!」
「いいのいいの」
隆くんと堅くんってば、おかんだね~
初かよ!カズちゃんと千冬は一生懸命、目そらそうと頑張ってる
え、マジ可愛い
これ終わったら千冬も撫でたる
まぁ、まずは………
「ははっ……覚悟しろよ?」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。