で、そんなこんなで8月20日。
結局、ほとんどの人に誕プレは何がいいかって聞かれたけど、飴かガムって答えた。だって、それしかないんだもん。
集会の後に家に帰るんだけど、ちょっと外で待ってろと言われた私と万次郎。まぁ、何があるか分かってるけど。
「「「マイキー!あなた!誕生日おめでとー!!!」」」
パンッとクラッカーの音と共に聞こえた恒例の言葉。ちょっとだけ、笑みを浮かべて「ありがとう」と返す。
「じゃ、誕プレだな」
「マイキー、ほらどら焼きだぞ」
「マイキー、たい焼き!」
「よっしゃああ!!」
万次郎マジでたい焼きとかどら焼きばっかじゃん。あ、カズちゃんは結局抱き枕にしたんだ……あぁ、隆と作ったのか。なるほどね。
「これやるから、もうあなたに抱きついて寝るなよ!」
「はぁ?!誰から聞いたんだよ!」
「あなた!」
喧嘩してるし………
「あなた~、はい誕プレ」
「ありがと………って、シュシュだ」
隆に手渡されたのはシュシュで。白のものと青のもの二つがある。
「あなたって誕プレに金かけられるの好きじゃないだろ」
「あれ?気づいたんだ」
「そりゃ何年もいればな」
そっか。ならこれは手作りか。さすが隆
「髪結んでやるから、座って」
「えー……ま、いっか」
縁側に腰かける。隆に髪をしてもらうのは初めてじゃないけど、どうも慣れない。
「はい、できた」
長かった髪は綺麗に纏められ、ゆらゆらと揺れる。
「やっぱその髪色に合ったな」
「ははっ、さすが隆」
「あなた!って、シュシュ可愛いじゃん」
「だろ?」
「何で三ツ谷がドヤるんだよ」
場地とパーちんは大量の飴をくれた。すごい嬉しい。地味に毎年、飴くれるのこの二人だけなんだよな。本気で飴ほしいのに、私は。堅はヘアオイル。なんでもお店のお姉さんたちに相談したら、これをあげなさい!と言われたらしい。すごい良いやつなんだって
真一郎はネックレスをくれて、万次郎はピアスをくれた。エマはお揃いの手作り感満載のブレスレット。
ほんとどれも嬉しい。
「あなた!」
「カズちゃん」
はい!と元気よく差し出されたそれは、手作りのクッションで。
「よくわかったね…」
クッションがほしいな~って言ってた聞かれてた?でも、それ結構前だよ。しかも、独り言に近かったのに。
「前、あなたがほしい~って言ってたの聞いてた!」
「やだ……可愛すぎる……」
何この子。超可愛いんですけど……うちの子にしていいですか?
ちゃんと責任もって育てますから。
13歳の誕生日
何事もなく、いつもと同じように
幸せな時間だった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!