「あ、あなたちゃん！」

「遅かったね。何かあった？」


「あー……ちょっとだけ…でも殴ったりしてないですからね？！澤村先輩、顔怖い！！」




すごい顔で見られてるんだけど！！？
絶対疑われてるよね？これ



じーって見られてると居心地悪い。はい！練習再開してくださーい！って言って部室に逃げた。部室の救急箱に予備で買ったものを積めていく。ドリンクもおいた。



そして思い出した。



「ぁ……あの人手大丈夫だったかな………」



選手の手殴ったらヤバイよね…
もし怪我とかしてたらもっとヤバイ

すっかり忘れてたけど、お礼とか言っておかないと……



うちと仲良しだって言ってたし…誰か連絡先とか知ってるかな…？










「は？青葉城西？」


「はい。仲良いんですよね？」


主将つながりで持ってないかな～の期待も込めて、澤村先輩に聞いてみた。そしたら、なんか。すごいものを見るような目で見られたんだけど。なぜに？


「いやいや……は？そもそも、何で青葉城西を知ってるんだ？」

「今日会いました。たしか……及川…さん？」


「及川？！！」


「えっ？！なんですか、そんな変なこと言ってます？！」


ぎょっと声を大きくするもんだから、みんな何だ何だってこっち見てるじゃないですか！！


「なんで、及川さんの連絡先持ってません？ちょっと言いたいことがあって」

「………何を？」

「お世話になったのでそのお礼を」


「世話になったってどういう意味だ？」


「あぁ…、ナンパから助けてくれたんですよ」


「ナンパ？！！」



「だから声大きいです！」


ほら～

澤村先輩のせいで「何？！ナンパだと？！」ってみんな大騒ぎじゃないですか。


「だから、お礼したいんです。誰か持ってません？」


「及川さんなら持ってるぞ」


「あ、バカっ……！！」




「影山！！ちょうだい！」


ぐるんと首をそちらに向けて、ぴょこぴょこ駆け寄る。救世主がいた。まさか影山が持ってるとは思わなかった。



ちなみに、持っていると言ってしまった影山くんはあとで先輩たちに怒られました。本人はポカンとしてたけど。