第11話

変化は少しずつ
2,803
2019/06/06 03:50
 夜の21時以降、彼らが本来の姿に戻れるようになって変わったことがある。それは彼らが私にくっつきたがるようになったこと。言ってしまえばスキンシップが激しくなって来ているということ。

朝など子供の時は普通だが、夜になると必ずと言っていいほど私を膝の上に載せたり髪を弄り出したり、はたまた私の膝に頭をのっけて所謂膝枕というものをしたり

恥ずかしいと最初は思っていたが、もう慣れてきた。

そしてもうひとつ。最近大人の姿の彼らを見ていると身体の奥の方が疼くような感覚がする。私ももう18になり、異性を意識するようになったのかとボーッと考える
坂田 悠
坂田 悠
ねーたんさんぽ!
一ノ瀬 宙
一ノ瀬 宙
えー、さんぽやだ。あつい…
 悠君が散歩に行きたがるが、宙君がそれを嫌がる。まぁ今の時期はいちばん暑いだろうし人数が多い分体調の変化には気付きづらい。

どうしたものかと考えているとピンポーンと玄関のチャイムがなった
貴方
貴方
はーい
天野 月翔
天野 月翔
あ、まふおとかうらたさんとか預かってくれてるあなたちゃんであってる?
貴方
貴方
あ、はい。私があなたです。初めまして
天野 月翔
天野 月翔
僕は天野 月翔!天月って呼ばれてるかな。いきなりごめんね
 話を聞くと、天野さんは昨日彼らから連絡を貰い、彼らの家に引っ越す手伝いのためにこちらに来たらしい。行動が早いな。
相川 真冬
相川 真冬
?あまちゅがおーきい
天野 月翔
天野 月翔
見事に縮んでんね、まふくん。
天野 月翔
天野 月翔
あ、じゃあこの子らの荷物一緒に整理して車に積むから君は自分のモノをしてきなよ
 僕が手伝ってもいいけど、女の子だから色々とアレでしょ?と頬を掻きながら言う天野さんの言葉に甘えることにして、自室に向かった

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2階に行く彼女を見送ってからまふおたちに視線を戻す。すると彼らは先程の子供っぽさはどこへやら大人びた雰囲気に戻した
天野 月翔
天野 月翔
ふぅ。それで、あなたちゃんはどんな感じ?
浦田 渉
浦田 渉
順調に進んでると思われ。天月のカタチのバイブも使ったりして夜は調教してる。
 そう。僕も彼女のご主人様になる予定の一人。あぁ、勘違いしないでね。奴隷とかじゃないから。
羅津 千紘
羅津 千紘
それより、話すなら先に服やらを片付けましょ。
 ラマンはそう言ってダンボールに服やらを詰め始めた。

各々詰めているのを手伝ったりしてすぐに準備は終わった。それじゃ、報告やらをしますかね
天野 月翔
天野 月翔
で、今は夜だけ元に戻れるようになってるんだ。
一ノ瀬 宙
一ノ瀬 宙
そう。子供の時は戻ってる記憶は忘れてる。という設定だけどね
 あぁ、子どもの姿の方が無防備になるからね。いーなぁ、彼女に沢山触れられて。まぁ、これからは歌い手専用のシェアハウスに軟禁するんだけど。
黒木 志麻
黒木 志麻
こっちの報告は終わり。次はそっち。あなたの姉貴分送ったけど、どう?
 へぇ、あの金髪の女の子、あなたちゃんのお姉さんなんだ。あれ?でもあなたちゃんは一人っ子…あぁ、そういうこと。
天野 月翔
天野 月翔
もちろん順調に命令を聞くようになってるよ。記憶を植え付けてるから僕らには逆らわないと思う。まぁ、今日実際に見てみればいいよ。
 こんなことが現実にあるの?と疑うだろうが、現実は小説より奇なり。よく言うでしょ?ただ知らないだけでこの世界には色々なものがある
天野 月翔
天野 月翔
さて、それじゃああなたちゃんの荷物を取ってくるよ。先に車に乗ってて
 そう言って僕は彼女がいる2階へと上がっていった。

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天野 月翔
天野 月翔
あなたちゃん、終わった?
 ある程度詰め終わるとちょうどいいタイミングで天野さんから声がかかる
貴方
貴方
はい!あ、でもこの家とか家具はどうしよう…
手続きとかが面倒だろうし家具もどうするか、悩む。この家は唯一の居場所だ
天野 月翔
天野 月翔
あー、家はそのままでいいと思う。ここから結構離れたとこに引っ越すから別荘的な感じでさ。それに、実家はあった方がいいでしょ?
貴方
貴方
確かに、そうですね。なら、荷物はこれだけで大丈夫です。お願いします
 2人で荷物を持って階段を降りる。他のみんなはもう車に乗っていたようだった。
貴方
貴方
8人も車に乗るのか心配でしたけど、ワゴン車かな?を借りてきたんですね
天野 月翔
天野 月翔
そうだよー。じゃ、乗って?
 天野さんは助手席のドアを開けて私を乗るように促した。紳士だなぁ

こうして私は住み慣れた家としばしの別れをすることとなった。

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