カメラの前に全員大集合していた。
みんなの前で1人で踊るのなんていつぶりだろ…
昔ダンスコーチに1人ずつ踊らされた時以来かもな…
あの頃はボーカルに力を入れすぎてたせいでダンスが下手で女だからって責められて1人で拗ねたり泣いたりしてたな…
私は下を向いた。
地面とオシャレな靴が目に入る。
オッパ達にも見てもらわなきゃ…
私の成長…
呼吸を整えると曲がかかった。
私は曲に気持ちを委ねた。
「MIC Drop」…
この曲は私達を馬鹿にしていた人たちへの皮肉、威嚇の意味が込められてる。
今までの努力を「成功」という形で示したのだ。
だけどそれだけじゃない。
あの頃の純粋な気持ち、初心を忘れないようにするために自分たち自身に訴えかける。
そういう意味も込めてある。
懐かしいあの頃。
敵だった周りの人間。
複雑な心境を表情に表す。
目線をカメラに向けた。
テヒョンオッパがその場を立ち去る。
それを追いかけるジミンオッパ。
テヒョンオッパ…
私、本当に何をしてしまったのか分からないよ…
ナムジュンオッパ…
ナムジュンオッパはいつも私達の小さな問題を解決しようと心がけてくれる。
リーダーだからって任せきりにしちゃうけど責任とか重いし本当に大変だろうな…
この件は私が解決しないといけない。
そう思った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!