仁花ちゃんに癒されていたら。
花崎ちゃんがやって来て目の前でカッターキャーした。
……アホくさ。
いくら花崎ちゃんの事を信頼してなくても流石に悲鳴が聞こえたらみんな気になるわけで。
部員全員がやってきた。
花崎ちゃんの迫真の演技も、誰一人として信じるものはいなかった。
花崎ちゃんが着けた仁花ちゃんの傷は、一生消えない。
仁花ちゃんが味わった恐怖と孤独は、この先ずっと仁花ちゃんを苦しめてしまうことになる。
仁花ちゃんには、そんな思いして欲しくない。
ふーん。
この子飛雄の事好きなんだ。
やだなー。
飛雄がモテるの。
ほんとにヤダ。
でも、今回の件はそれ以上に嫌なことがあったからさ。
私がそこまで言うと、花崎ちゃんは走って逃げて行った。
んー、言いたいこと言ってスッキリした。
後日談によると、私の怒りを聞いて元チームメイト達は私を怒らせなくてよかったと心底思ったらしい。
失礼な!
仁花ちゃんの笑顔が見れて良かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!