あなたside
『なんかね、かっこよく見えた。みんな高校くらい、自分の好きな格好して、楽しみたいのに校則のせいで全部やめて、なのに菊池は自分を貫いてる。』
環奈「…うん。それで好きなの?」
『……まぁそうだけど』
永瀬「席つけー。出席とりまーす!」
永瀬「菊池ー。……また休みか。」
『……先生!菊池って出席日数やばいんですか?』
永瀬「…まぁ、あと2日くらい休んだらリーチだな。」
『……そうですか。ありがとうございます!』
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放課後
環奈「ねぇー、いちごのタピオカ飲みに行こーよ!」
『制服での寄り道禁止じゃん』
環奈「いやいや笑これからこんな校則に縛られて過ごすのと、幸せのいちごのタピオカ飲みに行くのどっちがいい?」
『いや、そういう問題じゃないと思うんだけど、』
環奈「いやじゃあ聞くよ?自分に許可を出すのは誰よ?自分でしょ!だから、私は今日今からいちごのタピオカを飲む許可を出した。あなたも自分に許可を出せ〜!」
『……わかったよ。』
『てかさ、さっきからいちごのグミくれるけど動物に餌与える感覚でしてるよね?』
環奈「…あ、バレた?」
『バレるわ!』
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環奈「…本当に申し訳ないと思ってる。こんなに並んでるとは。」
『…なんで謝るの?』
環奈「こんな情熱で連れてきてしまって申し訳ない!」
『…そんなこと?!』
環奈「あ…あれ菊池じゃない?」
『え?あ、ほんとだ。』
環奈「どこか行っちゃうよ!ついて行こうよ!」
『さすがにダメだよ。』
環奈「あなた、自分に許可を出すのは?」
『………自分か。』
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!