あの日から、みんなを避けてる
朝も早く起きて、早めに学校に行く
そして、1人で校舎裏で迷い込んだ猫と遊ぶ
それが、日課になった
なんて言って横を通り抜ける
あの勝利が、泣いてた
勝利は、全く泣く事なんて小さい頃からなかった
俺は、弱虫で泣き虫だったから泣く事が多かった
子供なの?って不思議に思うほど
大人しくて物静かで今と変わらず優しかった
ごめん、勝利。
勝利が悪いんじゃないよ、
自分に自信が持てない
人に頼ってしまう自分自身が悪いんだ
自信が持てるまで、1人でいさせて
そう言って、毎日避けた
ある日
母「何言ってんの!ほら、行きなさい」
そう言って学校に向かう。
お腹痛くて、しんどい。
トイレとかじゃないんだけど、なんだろ
お腹痛い…
そう言って、みんなから離れる
しんどい、痛い
その感情しかない。
授業中も苦しくて授業どころじゃない
だけど、心配させたくないから何も無いように振る舞う
そして、昼休憩
ぎゅうっと強く勝利に腕を掴まれる
珍しく怒ってて、
ものすごく怖い。
知らない人の顔なんだ
こんなに優しくしてくれるから、
俺は、
みんなに頼ってばっかなんだ
立ち上がって、廊下に飛び出る
ドン!
横を通り抜けて逃げる
ギュッ
ドサ…
あなたちゃんにもたれかかってしまってる
離れなきゃ、
あなたちゃんに体重かけたらダメだ…
そう言って、風磨君の背中に掴まる
変な汗止まらなくて、汗がすごく出てしまう
息できなくて、お腹痛くて、
しんどい。
なんて会話が少し耳に入ってくる
嬉しくて、痛くて、苦しくて、
いろんな感情がぐちゃぐちゃになって涙が出てくる
避けたのに、なんでみんなはこんなに優しくしてくれるの
俺、ひどいことしたのに…
気がついたら病院の風景だった
横に誰かいる…
誰だろ、あなたちゃんに似てる…
夢見てるんだ…
あなたちゃんがこんなとこにいるわけない
夢なんだ…
ぼやっとしたシルエットに、
夢の中でもいいから、
あなたちゃんに好きだと伝えたい…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。