先生は、車を止めてから
「私はここで待ってるから、買ってきな?」
と言ってくれた。
さすがにスーパーまではついてこないか……
ってなんでガッカリしてんの?
別にそういうやつじゃないから。これは。
……誰に言ってんだか。
心の中で訳の分からない独り言を呟いた私は
スーパーに入ると横から突撃された。
感覚的に……サナだろう。
と思ったが…
そう言って彼女が指差した先にある私の左手はありえない方向に曲がっていた
自覚したからか視界に入れてからすぐに衝撃が走る
どこか腑に落ちないような顔をして私が経つのを手伝ってくれる
クラスメイトくらいは覚えるなんて言ったけど、名前覚えてないんだよな……
スーパーの入口前で別れて私はミナ先生の車へ向かう
別れて数秒して思わず泣いてしまった。
こう見えて痛みに弱いんだ私。前に肘擦りむいただけで涙ぐんちゃったし。
とりあえず早く戻って先生に家まで送ってもらおう
車の外から光が見えて、ミナ先生がパソコンを開いている様子が丸見えだった。
プライベートだったら悪いと思ってあんまり見ないように近づいた時。
ふと目に入ってきたのは教室で寝ている私の写真
え……?
少し固まっているとミナ先生がこちらに気付いたようで、すぐにパソコンを閉じ窓を開けた
その一言で軽くどこかへ行っていた意識を取り戻した
そう言うとミナ先生は少し安心したような表情を見せて
私に聞いてきた
青黒くなってぶら下がっている左手を見せる
見せたと同時に先生の顔色も青白くなる
すると急に鼓膜が破れるほど大きな声が
想像を絶する先生の迫力にただ頷くしかできなかった。
けれど、私を乗せた途端急発進するからさすがに危ないと思う
こんなに取り乱した先生を見るのは初めてだ。
まぁ初めて顔合わせてから2週間、まともに話してから1週間だし
当たり前と言えば当たり前なんだけど
……!……て!
……ってば!お……!
あなた!!!!!!起きてや!
そう言って顔を背けて私の手を取ろうとする先生
なんで顔背けちゃったのかな…残念……
残念?なんでだよ笑笑
そんなことを考えていれば左手に走る激痛
そう言って私の手を優しく撫でる先生
頭を撫でられている猫の気分だ……
先生の手、白いしすべすべだなぁ……
いや、変な意味じゃないよ?ただ綺麗だなぁって思っただけ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。