第9話

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2021/03/25 21:00





先生は、車を止めてから









「私はここで待ってるから、買ってきな?」









と言ってくれた。









さすがにスーパーまではついてこないか……









ってなんでガッカリしてんの?









別にそういうやつじゃないから。これは。









……誰に言ってんだか。









心の中で訳の分からない独り言を呟いた私は









スーパーに入ると横から突撃された。









感覚的に……サナだろう。




と思ったが…
あなた

いっ…てか…誰?

ダヒョン
ダヒョン
っあ……ごめんなさい!
あなた

いや、大丈夫だけど…

あなた

さっきもぶつかった…?

ダヒョン
ダヒョン
2回もぶつかるなんて…ほんとにごめんなさい!
あなた

大丈夫って……笑

ダヒョン
ダヒョン
それは絶対大丈夫じゃないです…
今すぐ病院行きましょう!




そう言って彼女が指差した先にある私の左手はありえない方向に曲がっていた









自覚したからか視界に入れてからすぐに衝撃が走る





あなた

待って……くっそ痛い……

ダヒョン
ダヒョン
ほんとに、ごめんなさい!
今から救急車……
あなた

それはさすがにやりすぎ…笑

ダヒョン
ダヒョン
じゃ、じゃあ病院まで連れて行くので背中乗ってください!
あなた

いやいや…病院までおんぶはきついと思うよ
足じゃないから歩けるし

ダヒョン
ダヒョン
でも、慰謝料とかは……
あなた

不慮の事故だから

ダヒョン
ダヒョン
でも…
あなた

もしそんなに気がかりだったら、学校で手伝ってくれない?

ダヒョン
ダヒョン
え?
あなた

正門前でも会ったし、クラス同じだよね?

ダヒョン
ダヒョン
なんで知って……
あなた

さすがにクラスメイトは覚えるよ笑

あなた

とりあえずさ、私今から病院行くから今日はもう帰りな?

ダヒョン
ダヒョン
……分かった。






どこか腑に落ちないような顔をして私が経つのを手伝ってくれる










クラスメイトくらいは覚えるなんて言ったけど、名前覚えてないんだよな……










スーパーの入口前で別れて私はミナ先生の車へ向かう






別れて数秒して思わず泣いてしまった。









こう見えて痛みに弱いんだ私。前に肘擦りむいただけで涙ぐんちゃったし。







とりあえず早く戻って先生に家まで送ってもらおう
















車の外から光が見えて、ミナ先生がパソコンを開いている様子が丸見えだった。









プライベートだったら悪いと思ってあんまり見ないように近づいた時。









ふと目に入ってきたのは教室で寝ている私の写真










え……?










少し固まっているとミナ先生がこちらに気付いたようで、すぐにパソコンを閉じ窓を開けた










ミナ
ミナ
今の……見た?




その一言で軽くどこかへ行っていた意識を取り戻した




あなた

な、なんのことですか?





そう言うとミナ先生は少し安心したような表情を見せて









私に聞いてきた





ミナ
ミナ
そういえば、なんで手ぶらなん??
買い物頼まれたんやろ?
あなた

あいや、それが……




青黒くなってぶら下がっている左手を見せる









見せたと同時に先生の顔色も青白くなる









すると急に鼓膜が破れるほど大きな声が




ミナ
ミナ
えぇ!?!!!だ、大丈夫なん!?大丈夫やないよな!?
ミナ
ミナ
どないしたんそれ!!!!!!
あなた

転んじゃいまして……笑

ミナ
ミナ
転んだだけでそんなならへんやろ!
今すぐ病院行くで!はよ乗って!
あなた

え、いや、家まででいいんですけど……

ミナ
ミナ
あかん!家寄っとったら悪化するかもしれへんやろ!



想像を絶する先生の迫力にただ頷くしかできなかった。









けれど、私を乗せた途端急発進するからさすがに危ないと思う








あなた

先生!1回落ち着いてください!

ミナ
ミナ
へっ…あ、ごめんな…
あなた

大丈夫ですけど、安全運転でお願いします笑

ミナ
ミナ
せやな笑







こんなに取り乱した先生を見るのは初めてだ。









まぁ初めて顔合わせてから2週間、まともに話してから1週間だし









当たり前と言えば当たり前なんだけど
































……!……て!



……ってば!お……!




あなた!!!!!!起きてや!
あなた

ん……寝ちゃっ……てました?

ミナ
ミナ
……っ///
着いたで早く降りよや!




そう言って顔を背けて私の手を取ろうとする先生









なんで顔背けちゃったのかな…残念……









残念?なんでだよ笑笑









そんなことを考えていれば左手に走る激痛



あなた

せ、せんせ!!!そっち折れてる!

ミナ
ミナ
ふぇっ?あ……ごめんな?!大丈夫?




そう言って私の手を優しく撫でる先生









頭を撫でられている猫の気分だ……









先生の手、白いしすべすべだなぁ……









いや、変な意味じゃないよ?ただ綺麗だなぁって思っただけ。























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