第66話

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2021/09/12 21:00




あれから、2週間の月日が流れた。




今私が立つここは空港のロビーというかエントランスというか。そんな感じの場所。




あれから毎日のようにミナ先生は私の元を訪れ、何度も好き、大好き、愛してるを伝えてくれた。




勿論私もそう。何度も伝えた。親が帰らなかった時はかなり危ないラインまで行ったこともあった。




この2週間でやりすぎだろって?




あの先生も抵抗しなかったんだからいいの。なんなら誘ってきたのはあの人なんだから。




それで、今私は目の前のこの人と話してるわけだけども。




めちゃくちゃ泣かれて私が泣かしたみたいに見られてるのがとてもじゃないけど耐えられない。




あなた

ミナぁ...そろそろ泣き止んでよ、頼むからさ...

ミナ
ミナ
だ、だってぇ...七ヶ月っやで?あ、会えないっ...
あなた

向こうが長期休みの時は帰ってくるし、ミナにも会いに行くから...

ミナ
ミナ
...ぎゅー、して...
あなた

...ん、わかった。





とことこと私の胸の前に来た彼女を今まで以上に強く抱きしめてあげると、それが引き金になったのかまた泣いてる。




どうしたら泣き止んで貰えるのかわからなくて、ただ抱きしめるしかできないでいると。




ふと目に入ったのは彼女を見つめる男どもの目。




何がおかしい、という意味を込めて睨みつけると急いで目を逸らす。




怖がるくらいなら最初から見ないでよ、怖がられるのも嫌なんだから。




何を見てたんだろうと上からミナを見ると、今更気付いたスカートの短さ。




今までで1番衝撃だよね。え、こんなスカート履いてくるやつおる?




私にだけ見せてよそういうの。




いつの間にか私の背中に手を回してグズグズ言ってる彼女を一旦引き剥がして、




私が着ていたコートを被せて後ろから抱き着く。




ミナ
ミナ
な、え?何?
あなた

スカート、短いよ。さっき色目使われてた。

ミナ
ミナ
......ふふ、嫉妬したん?
あなた

さっきまで泣いてたくせに...

ミナ
ミナ
それとこれとは別やもん。
あなた

これ、家帰るまで脱いじゃダメだからね。

ミナ
ミナ
えぇ...まだちょっと暑いんやけど...
あなた

だめ。ぜっったいだめ

ミナ
ミナ
まだまだ子供やなぁ笑
あなた

...自分の生徒にキスされただけで真っ赤になる人に言われたくない

ミナ
ミナ
なっ...そ、それは、ほらちゃうやん...な?
あなた

何が違うんですか〜?

ミナ
ミナ
意地悪...ほんまに高校生なんか疑わしいわ笑
あなた

...ミナ、こっち向いて

ミナ
ミナ
ん?どしたん?
あなた

......愛してる

ミナ
ミナ
...私も。浮気とかしたら許さんからな
あなた

じゃあ、毎日電話しないとだ

ミナ
ミナ
待ってるでな?
あなた

ミナからもかけてよ笑

ミナ
ミナ
そんなん言ったら毎朝毎晩かけるで?
あなた

それは...時差あるから控えて欲しいかな

ミナ
ミナ
冗談やからそんな顔せんでや笑




そんな会話をしていたら私の乗る飛行機の30分前のアナウンス




渋々目の前の人から離れると、突然私の胸に押し付けられるテディベア。




なにこれ?と聞くとこれを私だと思って頑張れってさ。




人形ならほかにもあっただろうに、わざわざクマを選ぶのが可愛いところ。




少し涙ぐんでいる彼女の綺麗なその唇に触れて、キャリーケースを手に搭乗口前に移動する。




あぁ...あんなこと言ったけど、私も離れたくないなぁ...




今になって押し寄せる後悔。あの時最後までしちゃえばよかったかなぁ、なんて。




こんな時にまであの時のミナの姿を思い出して口角を上げてる私はどれだけ変態なのか。




ふと名前を呼ばれた気がして振り向くと、控えめに手を振り、いつかお揃いで買ったネックレスにキスをして。




それをした後すぐに1人で恥ずかしがってるミナがとてもじゃないけど愛おしすぎて。




手にあるテディベアの口に、見せつけるようにキスをして。




それを見てもっと赤くなった彼女が、早く行け、とでも言うように手で私を追い払う。




やっぱり、好きだなぁ...




そんなことを思いながら、機内へと足を進める。
































ミナside___




とうとう、あなたの背中が見えなくなった。




最後の最後まで、私ばっかり赤くなって嬉しくなって。




最後くらい、私が年上らしく振る舞いたかったのに。




自分で見せつけて自分で恥ずかしがった上に年下のあなたに見せつけられて。




どこまでも私を愛してくれて、どこまでも私が彼女を愛してしまう。




七ヶ月、どれだけ辛くても彼女とのこの関係が、私を助けてくれる。そんな気がしてならない。




もし、次あの子が帰ってきた時には。




私がもっと年上らしくリードできるように。
























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