私は心の声が聞こえる
でも、聞こえるとは言ってもこういう
愚痴とか文句とか悪口とか…悪い方だけ
褒め言葉とか、良い言葉だけは聞こえない
だから昔から無口で人に対して心を開けなかった
人の汚い部分を聴いて育った私は例え家族でも
"怖い"
人と関われば必ず聞こえて
自分に対しての言葉だと強く頭に響く
だから私の事を空気だと思ってくれた方が何倍も楽だった
運動も勉強も嫌いじゃないのに
目立つ事が怖くて
優秀でもなく劣等もしてない普通を目指した
そして中学を卒業したくらいに金髪に染めた
何故なら金髪なだけで人が近寄ってこなくなったから
近寄られなければ聞こえる声も小さくなる
それだけで結構楽になった
ピアス付けたり、不良とつるんだりして
ただそのせいで聞こえる声が増えたのは言うまでもない
親はヤンキーも私も嫌い
昔よりも冷たくされている事は否めない
私はどうして生まれて来てしまったんだろう
こんな声聞こえなければ私は愛された?
そう考えない日はない
お父さんが言うように事故にでも会えれば
なんて
『心の声が聞こえたら楽しそうですよね!』
ふと聞こえたテレビの音
確かにこんなのが聞こえなきゃ楽しいのかもね
いや、聞こえない方がずっと楽しいよ
私は重い足取りで学校に向かった__
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。