第40話

よかった。
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2022/10/15 13:11
(渡辺翔太 side)


遅い。


あなたがお手洗いに行ってから随分時間が経っていた。




そして、俺はあることに気づいた。





あのプロデューサーがいない




ついさっきまで、あべちゃんと飲んでいた。




そのあべちゃんは、眠そうにしている。




「あべちゃんプロデューサーは?」



阿部「え?あぁ、なんか電話とか言ってたような」






胸騒ぎがした。





もしかしてと思い、お手洗いの方へ向かう。










やっぱり、予感は的中。



「何してんの?」



あなた「翔太……!」





プロデューサーがあなたの手を強く掴んでいた。



プロ「邪魔するな。あなたも俺と一緒に居るのを望んでるんだ」



あなた『そんなこと言ってない!』




「あなたは望んでないっぽいんで。」



そう言って俺はプロデューサーからあなたを離し、抱き寄せた。



あなたはすっぽりと俺の胸に収まる。




あなたが小さくて華奢なことを実感する。




あなたの腕を見ると赤く手の跡が着いていた。




こんな細くて白い綺麗な手をあんなやつに汚されたことに俺は腹が立った。



ギュッと強くあなたを抱きしめる。




あなた『翔太…?』

心配そうな顔でこちらを見るあなた。


「大丈夫だから。」



そう言って、アイツの方に目をやる。



「もうこれ以上あなたと俺らに近くな。」


「これは上にも報告するからな。」



プロ「はっwできるものならな。」


プロ「どーせ。適当なこと言ってると思われるだけだ。」



「それはどーかな。」



そう言って、スマホの画面を見せる。



プロ「それは、」




ボイスレコーダーのアプリ



「これを上に提出するからな。お前はもう終わりだ。」



プロ「なんだよ、、、」



くっ!そう言って、プロデューサーは逃げるようにその場を去った。



あなた『はぁ、、、よかった。』



「何もされてないか?」



あなた『うん。ありがと、ごめんね』



そう言って、笑顔を作るあなた。


無理してるように見えて、こっちが苦しくなる。



「無理して笑うな。」



あなた『うぅぅ、、、グスッ』




『怖かった……』と泣くあなた。




俺はあなたを強く抱きしめた。






しばらくして、

あなた『グスッ……ありがと、』



そう言って、俺から離れるあなた。



あなた『翔太が来てくれたおかげだよ、ほんとヒーローみたいだね』



さっきの笑顔とは違う。安心している表情だった。



「よかった。ちゃんと笑顔に戻って。」




「戻るか」



俺らはみんなの元へ戻った。




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