第19話

シルシ (R指定)
62
2019/12/04 07:00
月島さんからの話は、
俺の中に黒く渦巻くものを沸かせた。
浅野という男や、
行きずりの相手達との行為に醜く嫉妬していた。
月島さんにさえ嫉妬を覚えた。
(手を引け、て何だよっ。)
何も知らず何も出来なかった自分に嫌気がさした。
何処に当たればいいか分からない怒りの感情が止まらない。
思い浮かぶアキさんの笑顔が、
今は憎くて堪らない。
今までの全てが薄っぺらに思えてきて、
吐きそうになった。







それなのに、
俺の足は自然とアキさんのもとに歩いていった。
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不眠による疲労で意識がぼんやりしている。
ソースケにはあまり悟られたくない。
ソースケ
ソースケ
俺…、
月島さんと会いました。
アキ
アキ
…え?
話題にしたことはあるかも知れないが、
ソースケに月島を会わせた事はない。
ソースケ
ソースケ
…アキさんの昔の事、
…聞きました。
オレは今何を聞いている?
アキ
アキ
……!
頭が真っ白になった。
全身が震え、
悪寒が走る。
ソースケ
ソースケ
…俺、言ったよな。
もっと…甘えてくれって。
両肩を強く掴まれ詰め寄られる。
ソースケ
ソースケ
…何であんな話、
他の奴から聞かなきゃなんないんだよっ。
体から力が抜け、膝から崩れ落ちた。
何か言わなければ。
上手く言葉が出ない。
息が出来ない。
アキ
アキ
…ごめ……ん…。
ソースケ
ソースケ
…そんなに男に抱かれたいの?
アキ
アキ
…ちがっ…。
そんな訳ない。
それすら言葉にならない。
ソースケ
ソースケ
…SEX出来れば誰でもいいのかよっ!
アキ
アキ
…ちがっ…。
否定したくて何度も首を振る。
言葉よりも嗚咽が喉を上がってくる。





腕を痛いほど引っ張られ、
ベッドに突き倒される。
着衣を乱暴にむしり取られていく。
アキ
アキ
…ソースケ…やめ。
唇に噛みつかれ、
抗う声すら許されない。
唇の切れる痛みと襲われる恐怖に身を翻すが、
うつ伏せに押さえ付けられる。
ソースケの身体がのし掛かり、
太腿の間に彼のモノが擦り付けられる。
這いつくばり逃げ出そうとする肩に噛みつかれる。
アキ
アキ
…い゛っ。
ほぐされていないすぼみに、
容赦なく衝き入れられ、
幾度も肉壁を抉る。
何でこんな事に?
まだ夢の中なのか?
もうオレは逃げられないのか?
ソースケ
ソースケ
…くそっ。
オレの中から肉感が抜かれ、
強引に身体を翻された。
ソースケ
ソースケ
…こんな乱暴にされて感じてんの?
ソースケ
ソースケ
…勃ってるじゃん。触られてもないのにさ。
強い力で握り絞められる。
アキ
アキ
ん゛っ!
潰されそうな苦痛に悶絶する。
再び身体の真ん中を衝き侵される。
与えられる身体の苦痛。
なのに、
刺激によって目覚める快楽。
結局オレは、オレの身体は、
汚れきっている。
こんな風にしか成れない。
オレは顔を背け、
嗚咽と矯声が混ざる息が出てしまうのを堪えながら、
ただこの行為が終わるのを待った。









ソースケ
ソースケ
…こっち見ろよ。
俺の顔をはたくように、
眼を合わせられる。
嫌だ、ソースケには、
ソースケだけには見られたくない。
なのに、
頭を持ち上げられソースケの視線がオレを射ぬく。
…消えてしまいたい。
ソースケ
ソースケ
今アキさんと繋がってるのは俺だ。
…どうして?



そんなの、身体が熱くなってしまう。
高鳴る胸が痛いよ。
ソースケ
ソースケ
アキさんの中にいるのは俺なんだよ!
ソースケが苦しそうな顔でオレを見詰めている。
なのに、嬉しいだなんて思ってしまうんだ。





口内に舌が押し込まれ、
気道を塞ぐ。
ソースケ
ソースケ
アキさんに触れていいのは俺だけ。
乳首をきつく摘ままれる。
抗えない刺激に身震いする。
ソースケ
ソースケ
傷を付けていいのも俺だけ。
うなじに強く吸い付かれ、
歯をたてられ皮膚がちぎれた。
痛みと快感がより深く交ざっていく。
ソースケ
ソースケ
そいつの事が痛いっていうのなら、
俺がもっと痛くしてやる。
…いいよ。
ソースケになら何されたっていい。
このまま、息が止まったっていい。





オレが果てると、
その行為は終わった。
ソースケは精を放たなかった。







茫然と寝転ぶオレを、
ソースケはぎゅっと抱き締めた。
ソースケの体温を感じ、
胸が苦しくなる。
…好きで堪らない。
ソースケ
ソースケ
…ごめん…。
ソースケの瞳からの滴が落ちて、
血の滲んだオレの肌をつたった。
ソースケ
ソースケ
…ごめん、こんな事二度としない。
オレはソースケを抱きしめ返した。
もう、それだけで良かった。
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ソースケ
ソースケ
…指輪作らないか?ペアリング。
オレの手を取り、
左手の薬指にキスを落とす。
あの日みたいに。
ソースケ
ソースケ
…アキさんは俺のもので、
俺はアキさんのものだっていうシルシ。
ソースケの瞳が遠慮がちに、
オレを覗き込む。
ソースケ
ソースケ
…つけてくれる?
…愛してる。


…ソースケを愛してる。
夢ならば覚めないで。
このままオレを縛り続けて欲しい。
全部をソースケで満たして、溺れさせて。
オレの全てが君だと言わせて。
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R指定にはしましたが、
エロみはあまり無かった気がします。
もっと激しく罵る予定でしたが、
話を作る上で何十回も、
アキの感情なかに入り、
ソースケの感情なか入り、
犯し、侵され、
私の方が苦しくなってしまいました。
アキの呪いを解くにはどうすればいいか、
というのが作者の悩みでした。
暖かく優しい愛情だけでは府に落ちませんでした。
そして考え付いた結論は、
より強力な呪いをかけるという事でした。
それは救いとは言えないかも知れませんが、
全てを無くすことなんてどうせ出来ないのです。

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