月島が待っていたのはプールバー…と言えるほど小綺麗ではない、
寂れたビリヤード場。
会社帰りに寄る距離ではない、オレには。
此処も大学時代の懐かしい場所だ。
そう言う月島は既にジンの瓶を持って呑んでいる。
月島が飲み物を用意してくれてるうちに、
上着を脱ぎ、キューを取りに行く。
まだ、オレの置きキューあるじゃん、マジか。
もう、何年も来てなかったのにな。
月島はオレの酒を片手に、
マスターと雑談している。
あのオッサン、まだくたばってなかったのか。
タイムスリップしたような変わりの無さに、
懐古的な気分になる。
戻って来た月島は、
今日の本題も忘れ、
楽しもうとしてやがる。
ナインボールのブレイクセットを自らはじめた。
チョークを塗ると、
キューが手入れされているのに気付いた。
マスターか?有難い。
悪態をついて、ブレイクした。
難しい玉の配置に、
月島は考え込んでいる。
まともに答える気があるのか、
好手が見つかったとばかりに撞く。
あーうまいうまい。(棒
ポケットイン、
手玉もいい所出したよ。
チョークを塗りながら、
次の手を台の上に思案している。
簡単な並びだ。普通なら外さないだろう。
でも、オレの挑発に力んだ月島は二度撞きした。
残りの的玉を順当に全て落としてオレの一勝。
悪い顔で笑みを浮かべる。
何してくれてんだよ、月島。
もう話は終わりだとでもいうように、
ラッキングをしはじめる。
ソースケの分ぐらいは懲らしめないとな。
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同性愛の性向の人の割合は、
血液型AB型の人の割合(10人に1人)と同じで、
自身でもその性向に気付かないままの人もいる。
そんな話を聞いたことがあります。
(本当かどうかは定かじゃありませんが)
友愛と恋愛の区分ってあるんでしょうか?
作者は幸い?同性の方に恋愛感情を持ったことはないので、
(自分的には、どストレートだと思ってますが)
BLも私にとってはファンタジーです。
でも、気付いてないだけ目覚めてないだけという可能性を否定出来ないのは、
客観的に面白く感じます。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。