第17話

悪夢
32
2019/12/01 00:36
アキ
アキ
…う゛…やめて…ごめ……あ゛…
ソースケ
ソースケ
…アキさん。アキさん!
うっすら目蓋を開け、怯えるように顔をしかめた。
ソースケ
ソースケ
…大丈夫?アキさん。
アキ
アキ
…ソースケ…。
悪夢から覚醒して、
現実に間違いない事を確かめるように、
ソースケの温もりを手探る。
ソースケが手を握ってやると安堵の表情を浮かべる。
ソースケ
ソースケ
だいぶうなされてたよ。
悪い夢でも見てたの?
アキ
アキ
夢…。
夢?夢はどっちだ?
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悪夢の原因は分かっている。
数日前、彼を見かけたからだ。
何も起こっちゃいない。
何ももう起こり様もない。
もう過去の事だと分かっている。
なのに、どうしてオレは動揺が抑えられない?
月島
月島
…奴を見かけた?
アキ
アキ
…ああ。
月島
月島
何かされて…。
アキ
アキ
いや、見かけただけだ。
月島
月島
でも、お前おかしいだろ。
…何でそんなに不安そうなんだ。
アキ
アキ
…あまり眠れないんだ。
…ソースケにも、多分気付かれて…。
嫌だ、…嫌だ。
もう、戻りたくない。
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バイト先のピザ屋にリーマンが一人、
険しい顔で現れた。
ソースケ
ソースケ
いらっしゃいま…
月島
月島
…ソースケいる?
アキさんの大学時代の友人だと言う男、月島は、
月島
月島
仕事終わった後でいい。
ちょっと、話がある。
と言って、
近くの公園のベンチで待っていた。
俺が来ても、月島さんはなかなか話を切り出さなかった。
ソースケ
ソースケ
…話ってなんでしょう?
共通の話なんて決まっている。
焦れったい状況に俺が口を開くと、
月島
月島
…あんた、鷺沢からどんだけ聞いている?
まるで何の話か分からない。
俺が何も言えないでいると、
月島
月島
そっか。…どこから話すかな…。
月島さん自身、話の糸口が見つからないようだった。
月島
月島
…あんた、鷺沢のこと好きか?
急に面識の無い人に問われる事なのか?
ソースケ
ソースケ
ええ、…まぁ。
月島
月島
何を聞いてもそう言えるか?
何でこんなまわりくどい言い方をするのだろう。
アキさんに何があると言うんだ。
この月島という男はアキさんの何を知っているというんだ。
月島
月島
…鷺沢は、
また、月島さんの口が重くなる。息を飲む音が聞こえた。
月島
月島
…鷺沢は無理心中しかけたことがある。
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雲行きが怪しくなってこれから重い雰囲気に突入してしまいます、すいません。
作者は睦まじい二人をたらたらと綴りたいと初めは思ってました。
でも、書き進めるうち、アキの暗いキモチが時折覗くようになって来ました。
幸せそうな二人を綴れば綴るほどに影が濃く見えてきてしまいました。
作者の意図とは違う動きを見せる為、
アキからの視点で語る事はあまり避け、
ソースケにどうにか上手く立ち回るようにさせて来たつもりでした。
でも、もう無理のようです。
月島の再登場も作者の頭に無かった事です。
この後、糸は切れてしまうのか、否結び続けるのか。
もう、転がりはじめてしまったので、
引力に任せて行きます。
それでも、作者は二人の幸せを祈っています。

少し、投稿が遅くなるかもしれません。

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