うっすら目蓋を開け、怯えるように顔をしかめた。
悪夢から覚醒して、
現実に間違いない事を確かめるように、
ソースケの温もりを手探る。
ソースケが手を握ってやると安堵の表情を浮かべる。
夢?夢はどっちだ?
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悪夢の原因は分かっている。
数日前、彼を見かけたからだ。
何も起こっちゃいない。
何ももう起こり様もない。
もう過去の事だと分かっている。
なのに、どうしてオレは動揺が抑えられない?
嫌だ、…嫌だ。
もう、戻りたくない。
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バイト先のピザ屋にリーマンが一人、
険しい顔で現れた。
?
アキさんの大学時代の友人だと言う男、月島は、
と言って、
近くの公園のベンチで待っていた。
俺が来ても、月島さんはなかなか話を切り出さなかった。
共通の話なんて決まっている。
焦れったい状況に俺が口を開くと、
まるで何の話か分からない。
俺が何も言えないでいると、
月島さん自身、話の糸口が見つからないようだった。
急に面識の無い人に問われる事なのか?
何でこんなまわりくどい言い方をするのだろう。
アキさんに何があると言うんだ。
この月島という男はアキさんの何を知っているというんだ。
また、月島さんの口が重くなる。息を飲む音が聞こえた。
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雲行きが怪しくなってこれから重い雰囲気に突入してしまいます、すいません。
作者は睦まじい二人をたらたらと綴りたいと初めは思ってました。
でも、書き進めるうち、アキの暗いキモチが時折覗くようになって来ました。
幸せそうな二人を綴れば綴るほどに影が濃く見えてきてしまいました。
作者の意図とは違う動きを見せる為、
アキからの視点で語る事はあまり避け、
ソースケにどうにか上手く立ち回るようにさせて来たつもりでした。
でも、もう無理のようです。
月島の再登場も作者の頭に無かった事です。
この後、糸は切れてしまうのか、否結び続けるのか。
もう、転がりはじめてしまったので、
引力に任せて行きます。
それでも、作者は二人の幸せを祈っています。
少し、投稿が遅くなるかもしれません。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。