とある、お好み焼き居酒屋。
学生の頃からの馴染みの店。
席に着くとメニューも見ず、矢継ぎ早の注文。
ドリンクとツマミが来たら形ばかりの乾杯。
互いに軽くジョッキを当て、一口目を喉に流し込む。
なんて、お互いの仕事を労っていると、
お好み焼きの生地も運ばれ、
慣れた手付きで月島は焼き始めた。
特に隠している事ではない。
まして、気心知れた悪友の月島には、もうカミングアウトしている。
その事に引いたりせず、変わらずの態度で接してくれる。
口に出すことはないが、そんな交遊関係を有り難いと思っている。
人から見てもそう見えるのか、
と改めて思う。
別に同調をもとめているわけではない。
月島はおどけて軽口を言うスタイルなのだ。
冗談のように言っているが、
あながち間違いじゃない。
急に、月島は真顔になった。
痛いとこ突くね。
分かってるよ。そんな事。
オレが荒れてた頃の事、知ってるしな。
心配してくれてるのは分かったよ。
ririririri…スマホが鳴った。
どんなに、
ハッピーエンドが無いって分かってたって、
手遅れだ。
今が儚いものでも手放したくない。
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ゲスト回、アキの友人の月島。
月島なのにもんじゃでなくお好み焼きです。
アキの仕事、ITコーディネーターって、
正直、どんなのか分かってません(;-ω-)
何となく雰囲気で決めちゃいました。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!