第13話

←side story→ 悪友
34
2019/11/28 22:38
とある、お好み焼き居酒屋。
月島
月島
生中2つと、枝豆。あと、ミックス玉豚増し。
アキ
アキ
たこわさも。
月島
月島
とりあえず、そんだけ。
学生の頃からの馴染みの店。
席に着くとメニューも見ず、矢継ぎ早の注文。
ドリンクとツマミが来たら形ばかりの乾杯。
月島
月島
お疲れ~。
アキ
アキ
お疲れさま。
互いに軽くジョッキを当て、一口目を喉に流し込む。
月島
月島
今日は助かったわ、サンキューな。
アキ
アキ
取引先のフォローも仕事の内だよ。
月島
月島
いやいや、対応の速さは鷺沢に一目置いてるから。
月島
月島
で、今日は俺のおごりにしてやるよ。
アキ
アキ
それはしこたま呑まないとな~。
月島
月島
…ほどほどにしてくれ。お前ザルなんだから、俺の財布がもたん。
アキ
アキ
稼がせてやってるだろ~。
月島
月島
会社がな。俺のふところじゃねーよ。
なんて、お互いの仕事を労っていると、
お好み焼きの生地も運ばれ、
慣れた手付きで月島は焼き始めた。
月島
月島
ところで最近どーなん?
アキ
アキ
何が?
月島
月島
出来たんだろ?いい奴。
アキ
アキ
…ああ。
特に隠している事ではない。
まして、気心知れた悪友の月島には、もうカミングアウトしている。
その事に引いたりせず、変わらずの態度で接してくれる。
口に出すことはないが、そんな交遊関係を有り難いと思っている。
月島
月島
お前、表情代わったよ。
月島
月島
なんか…穏やかってゆうの?
人から見てもそう見えるのか、
と改めて思う。
月島
月島
合コンに誘えないのは残念だけどな。
アキ
アキ
それは勘弁だな。
月島
月島
まぁ、女釣るにはいいけど、
お前にイイところ持ってかれるのはなー。
アキ
アキ
合コンするほど、
月島だって相手に困ってないだろ。
月島
月島
馬鹿、女の子と騒ぐのがいいんだよ。
別に同調をもとめているわけではない。
月島はおどけて軽口を言うスタイルなのだ。
月島
月島
…で、上手くやってけそうなのか?そいつと。
アキ
アキ
…うーん、どうだろうね。
月島
月島
相手、ノンケか?
アキ
アキ
いちよう、そうかな。
月島
月島
よく落とせたな。
アキ
アキ
…落としたっていうより、落とされた?
月島
月島
どうだかねー。
月島
月島
鷺沢が女じゃなくて良かったよ。
俺なんか手玉に取られそうだ。
アキ
アキ
月島なんかオレのタイプじゃないよw
月島
月島
何ぃ~?俺はイイ男だぞ~。
冗談のように言っているが、
あながち間違いじゃない。
月島
月島
お前にハッテンバ連れていかれた時は、
洒落にならなかったけどな。
アキ
アキ
…そんな事、あったか。
月島
月島
ひっで!覚えてないのかよ。
あんときゃマジお前…。
アキ
アキ
月島、誘われまくってたもんなw
急に、月島は真顔になった。
月島
月島
…いいのか、ノンケの奴で。
苦労するんじゃないのか?
アキ
アキ
…そうかもね。
月島
月島
その上、まだ学生なんだろ?
先の事とか…さ。
痛いとこ突くね。
分かってるよ。そんな事。
アキ
アキ
…なるようにしかならないさ。
月島
月島
…鷺沢。
オレが荒れてた頃の事、知ってるしな。
心配してくれてるのは分かったよ。
ririririri…スマホが鳴った。
ソースケ
ソースケ
「…アキさん?」
アキ
アキ
…月島、悪い。帰るわ。
月島
月島
…え?まだ焼けて…。
アキ
アキ
ほんと、ごめん!
どんなに、
ハッピーエンドが無いって分かってたって、
手遅れだ。
今が儚いものでも手放したくない。
-----
-----
ゲスト回、アキの友人の月島。
月島なのにもんじゃでなくお好み焼きです。

アキの仕事、ITコーディネーターって、
正直、どんなのか分かってません(;-ω-)
何となく雰囲気で決めちゃいました。

プリ小説オーディオドラマ