いつもより少し気怠い朝に、昨日の夜のことを思い出す。
昨日あれからまた激しくしたからあなたもきっとそうだろうと思ったんだけど。
キッチンで朝食を作ってるあなたに近づいて、
後ろから腰に手を回そうとした瞬間足を棒のようなもので殴られた。
下を見れば、おもちゃの剣を持ちながら両手をめいっぱい広げて怖い顔であなたを守るちっさなヒーローの姿。
ムキになって言う俺を片手で制したあなたが、
しゃがんで優しく問いかけた。
おーっと、見られてたわけか。
でも、苛めてたわけじゃねぇし、
あなたも喜んでたし。
笑いを堪えきれずにいると、今度はあなたに殴られた。
凶暴なのはきっとあなたに似たんだな。
真っ赤な顔して必至に説明してるああなたが可愛くて。
その説明に納得いかなくて俺を睨みつけてるヒーローが頼もしい。
これなら俺の留守中こいつにあなたを任せても大丈夫だな。
俺の………俺たちのお姫様、2人で一緒に守ろうな。
今日も我が家は平和です。
END…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!