【ジミン】
...ミナが
交通事故...?
俺はいつの間にか教室を飛び出していた。
先生が後ろから何か叫んだが、そんなのどうでもいい。
学校をでて、近くの総合病院に行ってみた。
この辺りで大きい病院はここぐらいしかない。
そのとき、俺のスマホが鳴った。
とりあえず画面をみると、チェヨンだった。
チェヨンの声は震えていた。
泣くのを我慢しているのだろうか。
チェヨンは少し血の着いた制服を着て1人静かに泣いていた。
チェヨンは無言で手術中のランプがついた部屋を見た。
【チェヨン】
ミナと合流して、いつも通りの通学路で雑談をしながら歩いていた。
いつもの信号で止まっていると、ミナは急に焦りだした。
ミナの視線の先には小さな男の子が。
赤信号なのに横断歩道を飛び出していた。
ミナは男の子のところへ走り出した。
右をみると、大型トラックが走ってくる。
怖くて、動くことが出来なかった。
その直後...。
聞いたことも無い大きな激しい音がした。
トラックの下に見えるミナの白い腕が赤く染っていく。
私はすぐさまミナに駆け寄る。
ミナの姿をみると、震えと涙が止まらなかった。
夢中で叫んだ。
大人の人達が走ってくる。
横転したトラックをどかそうとしたり、救急車を呼んだり、私の背中を摩ったり、泣いている男の子を抱きしめたり。
病院
そのとき、ミナのお母さんが廊下を走ってきた。
慌ててきたんだろう。
手ぶらで靴下も履かずに、新しい傷のついたスニーカーを履いていた。
少したって、学校の先生も来た。
みんなでただ願うことしか出来ず、黙ってじっと待った。
すると、手術中のランプが消えた。
中から医者が出てくる。
ミナのお母さんは命が助かったことに安心して、その場で崩れ落ちた。
その後、ミナの病室へ移動した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!