急いで病院に向かい、ミナの病室に入る。
そこには、ミナを担当する看護師さんがいた。
俺はすぐに病室をでて思い当たる場所を走り回った。
通っていた高校、ミナに告白した公園、2人でいった夏祭りの神社、花火大会の広場、よく遊びに行った海
でも、俺の望む姿はどこにもなかった。
理由は分からない。
なぜミナは消えたのか。
なぜ俺に会わずに……。
目が覚めたのに、どうして……!
結局その日はミナを見つけることが出来なかった。
ミナのお母さんが警察に捜索願を提出したが、誘拐の可能性は低いと見なされ、まともに取り扱ってくれなかった。
俺は毎日ミナを探しに出かけている。
どこにいるのか、どうしていなくなったのか、不思議でたまらない。
ただ会いたくて仕方がない。
”ジミナ、大丈夫?”
”ミナちゃん、きっと見つかるよ”
”ミナならすぐ戻ってくるよ”
励ましの言葉をいくら貰っても、気持ちは晴れない。
俺を元気づけてくれるのはミナしかいないに……。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。