"ドサッ"
ベッドに思い切り放り投げられたメルトは、狩られた動物のように後ろから押さえつけられた。
本能的に"食われる"と思い全身が戦慄く。
うめき声が漏れるほど頭を強く押されて、首に噛みつかれた。
もう片方の手が背中に忍び込んでくる。
恐怖のあまり、金縛りにあったかのように体がこわばった。
しかし触れる手は優しく、しばらく撫でられているうちにだんだんと緊張がとけていく。
だが、それと同時に変な気分になってきた。
くすぐったいような感覚に身悶えしていると、ひっくり返されて仰向けになる。
目が合い見つめていると、顔が近づいてきて
噛み付くようなキスが降ってきた。
口内を確かめるように動きまわる舌に、息をするのを忘れてしまう。
今までのキスとは全く違う感覚に戸惑いを覚えながらも、頭がふわふわするのが気持ちよくて、されるがままになっていた。
無意識に舌を絡み返しにいくと、その舌を甘噛みされピリッと甘い電流が流れた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!