魔法を〜、どっかに逸らせるの。
どっかにってどこに……、
あーーーーー!!!
フロイドが逸らしたであろう魔法は、部屋の扉をガチガチに凍らせていて、分厚い金庫の扉のようになっていた。
大変だ…、
早く溶かさないと!!
いいじゃ〜ん溶かさなくて。
フロイドのためにも言ってるんだ!
こんなところににいたら、
低体温症で死ぬって!
え〜?
ふん、
そんなこと言ってられるのも今のうちだ。
おれはある程度慣れてるけど、
フロイドは寒くなってきたんじゃない?
別に〜、
っ…、我慢比べならのぞむところだ!
こうして、なぜか我慢比べが始まったが、
スカラビア寮の時と違い、この部屋は密室状態。
ほぼ冷凍庫と等しかった。
うぶっ……さぶい…
室内はどんどん冷えていき、
メルトは寒すぎて震えはじめる。
っ……
ベルーガちゃんどうしたの?
ぅ…、なんだよ余裕ぶりやがって!
フロイドが凍死しても知らないからなっ!!
…?
__
その後も我慢比べはつづいた。
フロイドがピッタリくっついているので、
多少は我慢できたが、
指先の感覚が無くなってきて、
下手くそな火の魔法を使って暖をとる。
気づくと、メルトの後ろに絡みついているフロイドは
この寒い中でぐっすり眠っていた。
__
_____
どのくらい経ったか…
メルトは睡魔に襲われて、いつの間にか寝ていた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!