眠そうなカリムと別れて、メルトはジャミルの後ろを歩く。
その時、ジャミルにいくつか質問され、メルトはそれに答えつつ、これまでの出来事を話した。
ジャミルが1つの部屋の前で立ち止まる。
"それじゃ"と言ってジャミルは自室に帰って行く。
スカラビア寮ーメルトの部屋ー
白い壁に開放的なつくりの1人部屋。
ベッドには赤色の天蓋が付いている。
1人になって気を抜くと、疲れがどっと押し寄せる。
部屋の時計は午後11時半をまわっていた。
今日のことを振り返りながら、しばらくぼーっとベッドに座っているとメルトの着ているセーターと手袋が光り出した。
"キラキラキラ"
時計が12時をまわると、キラキラと光っていたセーターと手袋は消えてしまった。
どうしたものかと考え込む。
これからうまくやっていけるのか、いろいろな不安がメルトの頭を埋め尽くす。
メルトは自分に言い聞かせるように、ロイヤルソードアカデミーの教えを呟く。
みんなが寝静まった砂漠の夜は、とても静かだった。
部屋のハンガーにかかった上着の襟には、ロイヤルソードアカデミーの生徒証でもあった、魔法石のブローチが付いている。
寂しい気持ちを押し殺すように目を瞑る。
すると、睡魔に襲われてメルトはベッドに沈む。
……………
_____メルト
_____メルト
誰かの声がする。
……………メルトはいつかの夢を見た。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!