第18話

6-1 〜学園のよろずや〜
13,112
2020/11/12 08:00
クルーウェルが、凍った方の腕をメルトにまわした状態で廊下を歩く。
身長183cmのクルーウェルが着ている白と黒のコートは、メルトをすっぽり覆っている。



 ………
メルト
メルト
っ……
クルーウェル
クルーウェル
大丈夫だ。俺は教師だ。
実は先程から、クルーウェルが火属性魔法を火傷しない程度に使って、じんわりと手をあたためているが、氷はいっこうに溶けない。
どんなに溶かしても、メルトがまた凍らせてしまっているからだ。
メルト
メルト
ごめんなさい…
クルーウェル
クルーウェル
バットボーイ、お前が謝る必要はない。
そう言って、クルーウェルは空いている方の手で、メルトの頭を優しく撫でた。
メルト
メルト
んっ…
メルトははじめびっくりして体をこわばらせるが、しばらくクルーウェルに撫でられていると緊張が解けて肩をおろす。
クルーウェル
クルーウェル
そうだ、ゆっくりでいい。
やれば出来るじゃないか。
校舎を出て少し歩くと、小屋のお店にたどり着いた。
メルト
メルト
……ここは?
クルーウェル
クルーウェル
ナイトレイブンカレッジの購買部だ。
メルト
メルト
購買部?
クルーウェル
クルーウェル
必要なものがあったら、ここに買いに来い。
クルーウェル
クルーウェル
基本なんでもある。
メルト
メルト
はい。
メルト
メルト
……でもなんで購買部に?
クルーウェル
クルーウェル
…俺は入学式に出ていた。
クルーウェル
クルーウェル
お前があのとき身につけていたセーターと手袋は、魔法でできたものだな?
クルーウェル
クルーウェル
それも魔力を抑えるような、
メルト
メルト
…はい。
クルーウェル
クルーウェル
魔力を高めるものを身につける者はいるが、
その逆は珍しい。
クルーウェル
クルーウェル
ましてや仔犬がつけているとなると、
メルト
メルト
……。
クルーウェル
クルーウェル
そして、今のこの状況でなんとなく分かった。
クルーウェル
クルーウェル
お前は、魔力が多いのにコントロール出来ていないな。
メルト
メルト
…はい。
メルト
メルト
おれ、あれがないと……
クルーウェル
クルーウェル
だからだ。言っただろう?
"なんでもある"と、
そう言って、店の中へと入った。

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