第4話

狐面の彼女 トッポside
335
2020/11/11 11:23
寝ていたぼくの額に冷たくて硬い物が当たり、目を覚ました。

暗闇の中、ぼんやり見える人影に息が止まりそうになる。
トッポ
誰……?
立って
ぼくの問いかけに応じず、彼女?は額の物をカチャリと動かした。
自分自身が死ぬのも怖いけど、それよりもこの部屋にある薬品が入った瓶を破壊されることの方が怖かった。

爆薬でみんなを巻き込むのもイヤだし、なぜか彼女も巻き込みたくなかったんだ。
トッポ
ぼくな……薬師やねん
トッポ
せやからこの部屋には僕が作った薬がたくさんあんねん……劇薬、爆薬いっぱい
彼女は話を聞いてくれてるのか、動かない。
トッポ
ぼくは死んでもええけど、君なりにやりたいことがあるんよね
トッポ
せやから、せめて電気つけさせて?  話はそれから聞くから
声を震わせながらなんとか言うと、彼女は離れてくれた。
トッポ
ありがとう
ひとまずお礼を言ってから、電気を付ける。
明るくなって見えたのは、至る所に置かれた薬の瓶の山と狐面を被った全身黒づくめの人間がぼくに銃を向けている姿やった。
これでいいでしょう、早く立って
声と話し方からして、やっぱり女性やなと思いながら両手を上げるぼく。
立ち上がりながら彼女の目を見ると、微かに揺れていた。
ここの人たちが集まるところへ連れてって
トッポ
ぼくが案内すればええの?
そうよ……し、トッポさん
ぼくは言葉を聞いた後、両手を上げたまま背を向けた。
背中に押し付けられた銃を感じたけど、ぼくは立ち止まったまま動かない。

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