第17話

作戦決行①
651
2020/08/05 23:02



春川side



ついに作戦決行の日


やばいめちゃくちゃ緊張する…


心配になってあじの方を見ると


大丈夫だよって優しく微笑んでくれて


こんな時だけカッコよく見えるとかズルい…





『今日はあなたの格好で事務所に行く、でいいんだよね?』


安嶋「うん。あなたの格好でみんなに会った後、
   郁の格好でいつも通りレッスンに参加する。」





あじは私の頭を優しく撫でてから


そろそろ行こっか、と言って駅へと歩き出した


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家から事務所へ向かう途中も緊張していたけれど


あじがたくさん話しかけてくれて少し落ち着いた


ちなみに今の私の服装は


袖にレースがついた可愛らしい白いTシャツを


チェック柄のミニスカートにインしてる (伝わる?)


郁ってバレないようにメイクもいつもより濃いめ


あと言ってなかったけどあなたの時はカツラ被ってます


地毛と同じ色で肩よりちょっと長いストーレートのやつ


あじには足出しすぎ!って怒られたけど


女子っぽい方が郁ってバレないでしょ?って言ったら


しぶしぶOKしてくれた笑





『この格好で事務所とか新鮮だね笑』


安嶋「そう?俺はいつも通りだと思うけど」


『え?だっていつも事務所来る時は郁じゃん』


安嶋「どんな格好でも俺にとってあなたはあなただから」


『うわ、引いた』


安嶋「本当はカッコいいって思ってるんでしょ?」


ひではいつもカッコいいじゃん


安嶋「え、うそ!?もう1回言って!?」


『もう言いませんよーだ!』





今日は郁じゃなくてあなただから


ちょっとだけ素直になってもいいかな、なんて思ったり。


そんな風に2人で話しているうちに事務所に着いた





『やっぱり緊張する…』


安嶋「大丈夫、俺があなたのこと守るから」


『うん…』

??「あ!あじー!遠くから





後ろの方からあじを呼ぶ大きな声が聞こえた


聞き覚えのある声だ…


私はとっさにあじの後ろに身を隠す





内村「あじーー駆け寄ってくるーーーーーー!」


安嶋「うっちー!平塚も湧も黒ちゃんも…!」


平塚「あじおはよ〜」


元木「たまたま4人同じ電車だったんだよ、やばくね?笑」


安嶋「おお、すごいね笑」


黒田「ねぇ、あじの後ろの子ってもしかして…」


『………』


安嶋「自己紹介できる…?」


『…春川郁の姉のあなたです。
 弟とひでがお世話になってます。』





私は腹を括り4人に自己紹介して頭を下げた


あじは心配そうにこちらを見つめている





内村、平塚、元木、黒田「…………」





返事がない………まさかいきなりバレた?!


心配になって4人の顔を覗くように顔を上げる


すると返ってきたのは想定外の言葉だった





元木「めっっっっっちゃ可愛い!!!!!」


平塚「それな?写真の100倍は可愛い!」


『へ……?』


黒田「スタイル良すぎでしょ!やば!」


内村「平塚より目大きいんじゃね?笑」


『へ……………?』





いや、メンバーの春川郁なんですけど笑


なんて言えるはずもなく私は愛想笑いを浮かべる


すると状況を察したあじが口を開いた





安嶋「まだ早いけど暑いし事務所入ろ?」


平塚「さんせー」


黒田「ねえあなたちゃんも!行こ!」


『あ、はい、』


元木「よっしゃあ!れっつごー!」





テンションMAXで事務所に入っていく4人の後を追う


あじが"意外と大丈夫でしょ?"って口パクで言ってくるから


私も口パクで"本当だね"なんて返してみる


2人で笑っていると前にいた4人が不思議そうに振り返る


私はそんな4人に向けて笑顔を作ってみた


今度はさっきよりも少しだけ自然に笑えた気がした




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