断ろうとした。
けど、テオくんの目は真剣だった。
断るにも悪かった。
俺はテオくんを家にあげ、
自分の部屋に入れた。
なんか恥ずかしいな。
そう思ってたらあることに気付いた。
テオくんから貰った学ランをしまうのを忘れていた。
どうしようどうしようどうしよう…………
テオくんは何かを見つけたように言った。
見つかった。
どう言い訳する?
彼氏が出来たからいらないって言われて返された?
不自然すぎる。
やっぱいらないって言われた?
返せばよかったでしょってなる。
とっさに出た言い訳がこれだ。
酷すぎる。
引かれた?
嫌われた?
テオくんは優し過ぎるよ。
こんな気持ち悪い人にも優しくするなんて。
テオくんが帰ってしまう。
消えちゃう。
俺という名の物語からテオくんがいなくなる。
俺は気付いたらテオくんの手を引っ張ろうとしていた。
でもテオくんの方が力が強いから
テオくんを自分の方へやることは出来なかった。
今更なんて言い訳するんだよバカ。
好きって言えもしないくせに。
テオくんは不思議そうに俺を見てる。
なんて言えばいい。
なんて言えばこの気持ちがバレることなくテオくんが帰れる?
どうすればいい?
思わず涙が出た。
ふと、ぬくもりを感じた。
そう、テオくんが俺を抱きしめてくれた。
必死にテオくんに言った。
でも、まさかこんなことまで言ってしまうなんて………
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。