俺は、答えに詰まった。
この人に言ってもいいのだろうか。
信じてもいいのだろうか。
また捨てられるのではないだろうか。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
俺は小学生か中学生の頃までは普通に生活していて、
すごく充実していた。
すごく仲がよかった、親友とも言えるようなくらいの人だって居た。
信じてた。
大好きだった。
相棒だった。
だけど、そう思ってたのは俺だけだった。
聞いちゃったんだ。
相棒だと思ってた人が、俺の悪口を言っていたことを。
それで、俺は放課後、体育館裏に呼び出された。
ドッキリだった?
騙しただけだった?
だけど、俺の求めた答えとは違った。
その子の目は本気だった。
周りの友達も。
まるで汚いものを見るかのように、
俺を見ていた。
俺の口は、決して開かなかった。
いや、開けなかった。
死ねばいいのに。
俺は、本気でそう思った。
消えちゃえばいいのにって。
初めて死にたいと思った。
だけど死ねなかった。
次の日、俺は学校へ行った。
昨日のはドッキリかもしれない。
そう思いたい。
だけど、違った。
あいつらは、わざとらしく言った。
俺はその瞬間から、人と関わることをしなくなった。
友達も作らず、思い出もいらない。
だって、
失うのが怖いから────
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
この人って、案外誠実な人なんだ。
でも、まだ信じちゃダメ。
俺はそうやって騙されたから。
普通、タメで入ってあだ名でしょ。
この人、やっぱ変わってるなぁ。
へー、意外。
そうやって、寺島………
いや、テオくんは走って行った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!