卒業式が終わってから数日、
テオくんと会ってもないし
話してもない。
連絡だってしていない。
正確には俺が一方的に無視してるだけなんだけど………
理由はひとつ。
テオくんに会わないため。
会いたいよ?
すごく会いたい。
でも今の状態であうと、
いつこの想いがバレてしまうのかわからない。
ふと口から出た。
あいからわず静かな家。
窓の外は桜が散っている。
春の風の音。
テオくんから貰った学ラン。
俺はそんな春が大嫌い。
早く終わっちゃえばいいのに。
スマホを見ると、
テオくんからのたくさんのLINEと不在着信。
出来ることなら全部読みたい。
全部出たい。
でも無理だった。
ピンポーン
誰だ全く。
こんな時に。
ガチャ
出なければよかった。
ちゃんと確認すればよかった。
目の前には今、
一番会いたくない人が立っていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。