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第1話

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2022/03/22 05:51
yh side
(もう疲れた。疲れたというより動けない。頭が働かない。どうしよう。まだ編集も残っているし、明日はネタ会議だからネタ出しもしなくちゃいけない。やばい疲れたとどうしようが頭の中を埋め尽くして何も考えられない。自分の前回出した動画があんまり再生回数伸びなかったから、早くネタだししたい。最近色々あったけど、なんとかみんなでそれを乗り越えるために頑張っているのに……。こんなところで、沈むわけにはいかない。みんなに申し訳がない。このことを話せば気をつかって休ませてくれるだろう。だけどこの仕事は一人の一挙一動がメンバーや視聴者に影響を与える仕事だ。俺が足を引っ張ったら、様々な人に迷惑をかけることになる。リーダーとして自分の行動もそうだけど、メンバーのやることにも責任を持って動かなければならない。指示する人間がいなくなったらグループはうまく機能しない。でも俺よりもっと適任がいるかも……。いやいやいや、そんなこと考えている暇はない。自分の役割を果たすだけだ。仕事は切替とトライアンドエラーだ。早く考えないと…… )

ようへいがそんなことをぐるぐる考えていると、誰かが編集部屋に入ってきて、彼にカメラを向けてきた。


?「ちょっと撮影します〜。……って、どうしたんですか!? 」



yh「えっ、どうしたのって…… 」

ようへいは編集部屋に入ってきた『彼』に言われて今自分が涙を流していることに気づいた。

yh「えっと、これは…… 」

yh side
(見られた。まずいまずいまずい。心配かける。迷惑かける。俺は卑怯だ。一瞬心配してもらえるなんて、考えている自分が浅ましい。みんな頑張っているのに、辛いのに自分だけ逃げてるみたいで。不安にさせるわけにはいかない。自分の不安がみんなを不安にさせる可能性がある。早く弁明しないと。けど、言葉が出ない。息がしづらい。心臓の隙間と肺の隙間に痛みが入り込んだみたいだ。早く言わないと…… )

ようへいが次の言葉を言おうとした瞬間、『彼』は机にカメラを置き、ゆっくりとようへいを抱きしめた。

?「大丈夫ですか。ちょっとゆっくり深呼吸してみましょうか。はい、吸ってー、はいてー 」



yh「……すっー、ふっー 」



?「うん、上手上手。これ何回か繰り返せばだいぶ楽になりますからねー。はい、もう一回吸ってー 」



『彼』はそう言いながらようへいの背中を優しくさする。数分経って、ようへいの呼吸と涙が落ち着いた。

?「少し……落ち着きましたか? 」



yh「……落ち着きました。ごめんこんなところ見せて。もう大丈夫だか…… 」



?「大丈夫、ではないですよね。今日はもう帰りましょう。あっ、そうだ。俺のうち来てください。1人だともっと休めなそうなんで 」



yh「いや本当に大丈夫…… 」



?「はい、じゃあ行きますよ〜 」

『彼』は他のメンバーに帰宅する旨を告げた後、ようへいの手を引いて自分の家へ向かった。家に着くと『彼』はようへいをソファに座らせ、もう一度泣いていた彼を抱きしめた。

yh「えっと、もういいんだけど…… 」



?「そうですか? 顔は泣いてないけど、心が砕けてます。それが治るまで俺のうちにいてくださいよ 」

yh「でも悪いし、迷惑が…… 」



?「あー、それじゃこうしましょう。家のこと、洗濯とかやってもらいたいでお願いしても良いですか。それなら誰も悪いとか気使うとかなくなると思うんすけど…… 」



yh「うっ、うーん……。わかった。そうさせてもらうよ。本当にごめん…… 」



?「そこはありがとうって言ってほしいっすけどね(笑) 」



yh「あっ、ごめ……じゃなかった。ありがとう…… 」




?「そんじゃ、よろしくお願いします 」




yh「……お願いします 」

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