【夜】
やべ…つい喋っちまった…
俺は、こいつの「彼女役」なんだから…
俺らが達した後、睦希は俺の頬を触った。
鼓動が早くなったが、頑張って抑えようとしていたら……
そうだ。俺は彼女…藍沢さんだ。
それに、女じゃない…男だ。
こんなわかりやすい見た目を睦希が間違えるわけない。
…これもこれで、俺は…っ
心が痛い…っ
そりゃそうだ、こいつはどれだけ藍沢さんを好きだったか…
俺は、全部知ってる。
いつもいつもいつも…こいつの藍沢さんの話はあった。
嫌気がさすほどに…。
俺「を」可愛いとは思ってないの知ってた。
なのに…っ…はぁ…今にも泣きそ…
ダメだ。
もう……っ
勘違いしてしまいそうだ……。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!