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第22話

気まぐれ…?
769
2021/04/19 08:18
夜刀神
元気になったようで何より!
真っ白な病室に神様の元気な声が通る。
ウマが合ったのかすっかり打ち解けてしまった嫁と神様に甚爾は軽くため息をつく。
夜刀神
おや、旦那様がヤキモチを焼いてるみたいだから私は失礼するよ!
パパ黒
パパ黒
あーあー、サッサと五条の坊たちの所に帰りやがれ!
軽口を叩き合いながら甚爾は神様を病室から追い出す。
しかし病室を出る前、神様はこちらを振り返り言った。
夜刀神
…禅院家のことは安心して、私が黙らす。
あとのことは君が決めろ、伏黒甚爾。
そう言った夜刀神の表情は今まで見たことも感じたこともないような慈愛に満ちたものだった。
夜刀神
私はね、呪術師達に“神に頼らないこと”を条件に力を貸してる…まぁ簡単に言えば気まぐれで助けるかもね?みたいな?
そう言ったあと夜刀神は少し間を置いて再び口を開いた。
夜刀神
でも今回に関しては私の独断、私情!
助けたいから助けた、またなんか困ったら呼びなよ蛇一匹置いてくから!
ニコリと笑った夜刀神はそう言って手を振りながら病室を後にした。
パパ黒
パパ黒
…ど偉い神様に好かれたもんだな伏黒家
手のひらに乗せられた真っ白な蛇を撫でながら笑う。
真っ白な蛇は真っ赤な目をパチパチとさせながら首をかしげこちらを見つめていた。




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夜刀神
ヤバいなぁ…
病室を出てしばらく歩いたところの休憩スペース。
自販機で新商品と書かれているジュースを飲みながら独り言を零す。
夜刀神
あの子たちに死んで欲しくない、なんて一昔前の私に聞かせたらゲロ吐くんじゃない?
ふふ、ウケるwww
夜刀神
はぁ…私も甘くなったなぁ、たった数年一緒にいただけなのにね、どうしてこんなに…
『                             』

開けられていた窓から吹いた風が夜刀神が零した独り言を連れて廊下の先に吹き抜けていく。
飲みきって空になったペットボトルをゴミ箱に捨てて夜刀神は立ち上がる。
夜刀神
さ、高専に帰るか!
そう言ったあと夜刀神の姿は一瞬のうちに消えた。

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夜刀神
たっだいま〜
家入
家入
ん、おかえり夜刀
飛んだ先は医務室、今回の戦闘で負傷した夏油と五条(反転術式で治ってるけど一応)を見に来たのだ。
五条
五条
夜刀ぉ…どこいってたんだよ?
夜刀神
甚爾くんのところに少しね、奥方も元気そうだったよ!…傑はまだ目を覚ましてないの?
家入
家入
うん、でも明日くらいには目を覚ますと思う
後ろから抱きついてくる五条を軽くあしらいながら硝子との会話を進める。
夜刀神
そうか…君たちが無事で何よりだよ、あと今から禅院家にカチコミ行ってくるから…傑のこと見ててあげてね!
家入
家入
…え?
五条
五条
カチコミ?何それ面白そう!
この後乗り気になった五条と夜刀神の最恐コンビが禅院家をどつき回し多方面の方々の胃に大きな風穴をぶち開けることになった…のだが本人たちは全く悪びれもなく目を覚ました同級生にゼリーやら消化にいいものを買って帰ったのだった。

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