真っ白な病室に神様の元気な声が通る。
ウマが合ったのかすっかり打ち解けてしまった嫁と神様に甚爾は軽くため息をつく。
軽口を叩き合いながら甚爾は神様を病室から追い出す。
しかし病室を出る前、神様はこちらを振り返り言った。
そう言った夜刀神の表情は今まで見たことも感じたこともないような慈愛に満ちたものだった。
そう言ったあと夜刀神は少し間を置いて再び口を開いた。
ニコリと笑った夜刀神はそう言って手を振りながら病室を後にした。
手のひらに乗せられた真っ白な蛇を撫でながら笑う。
真っ白な蛇は真っ赤な目をパチパチとさせながら首をかしげこちらを見つめていた。
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病室を出てしばらく歩いたところの休憩スペース。
自販機で新商品と書かれているジュースを飲みながら独り言を零す。
『 』
開けられていた窓から吹いた風が夜刀神が零した独り言を連れて廊下の先に吹き抜けていく。
飲みきって空になったペットボトルをゴミ箱に捨てて夜刀神は立ち上がる。
そう言ったあと夜刀神の姿は一瞬のうちに消えた。
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飛んだ先は医務室、今回の戦闘で負傷した夏油と五条(反転術式で治ってるけど一応)を見に来たのだ。
後ろから抱きついてくる五条を軽くあしらいながら硝子との会話を進める。
この後乗り気になった五条と夜刀神の最恐コンビが禅院家をどつき回し多方面の方々の胃に大きな風穴をぶち開けることになった…のだが本人たちは全く悪びれもなく目を覚ました同級生にゼリーやら消化にいいものを買って帰ったのだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。