第14話

昔話2
767
2021/03/07 08:00
ふと目を覚ます。

むくりと起き上がると暖かい空気が蛇神の肌を掠めた。
しばらく寝ていた間に年月は経ち季節は春になっていた。
ぽかぽかと暖かい日差しに蛇神は目を細める。
そして何十年ぶりかに社を覗いて見た。


そこには箭括麻多智の姿はなかったが、箭括麻多智によく似た青年の姿があった。
箭括麻多智は夜刀神の社を守る約束を今も果たしていたのだ。その事実に蛇神は再び見守ることを決め、社に滞在するようになった。


蛇神が戻ってきた事を祝人は喜び歓迎しました。


その日から何十年も箭括麻多智の子孫達を見守りました。しかし、ある日悲劇が起こったのです。

神聖な水が湧き出ると噂される大木付近に湖を作ろうと人間が木を切り落としに来たのです。

もちろんそんなことをして欲しくない夜刀神と蛇神は抵抗しました。しかし人間は邪魔をするのならば全部殺してしまえ、と夜刀神を殺してしまったのです。
そんな光景に心を痛めた蛇神は夜刀神を撤退させ木々が切られていくのをただぼーっと見守りました。


そしてその木を切り落とし作られた湖からは聖水が湧き民たちの生活に役立てられたのです。


なぜ?なぜ?なぜなぜなぜ?なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ?なぜ?なぜ?なぜなぜなぜ?なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ?なぜ?なぜ?なぜなぜなぜ?なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ?なぜ?なぜ?なぜなぜなぜ?なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ?なぜ?なぜ?なぜなぜなぜ?なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ?なぜなぜ?なぜなぜ?なぜなぜなぜなぜなぜ?
蛇神
なぜ人間を守らねばならぬのか?
守るべき対象だから、それが私たち神の義務。
蛇神
どうして私が姿を隠して生きていかねばならぬのか?
私が死そのものだから、皆々私の前では無力。
蛇神
会いたい逢いたいあいたい会いたい逢いたいあいたい会いたい逢いたいあいたい会いたい逢いたいあいたい会いたい逢いたいあいたい会いたい逢いたいあいたい会いたい逢いたいあいたい会いたい逢いたいッ!
誰も私を見たいなんて言わなかった、なのに…見てみたいと言ったあの人に…逢いたい呪いたい
その日蛇神は何百人の人間と夜刀神の社を守ってきた箭括麻多智の子孫を自らの手で殺した呪った
蛇神
なんて醜い姿…ごめんね麻多智…お前にかけた呪い今解いたよ…だからもう自由におなり…
私という醜い神に囚われた哀れな男よ、
さようなら
知らないフリをしていたこと。箭括麻多智にかけた輪廻の呪いと向き合って、そして断ち切った。
夜の闇に怪しく光る満月が蛇神を映す。


家を押し潰すほど大きな体に地につきそうなほど伸びた艶のある真っ白な髪、ルビーをはめ込んだような瞳に額には二本の角、目元にはタトゥーのような模様が浮かび腰からは蛇のような龍のような尾が伸びている。


嗚呼、安心して欲しい。これは本来の姿ではない、その1歩手前、だから見ても死ぬことは無い。


それでも異様なその姿は恐怖を煽るものだろう。
確かに先程の湖の人間共は恐怖から失神する者もいた。
ふっ、と自虐的な笑みを浮かべた蛇神は山奥へと姿を消して行く。蛇神のそばには8つの蛇の首が寄り添っていた。




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その呪いが断ち切られた時少しだけ君の姿が見えたんだ…。
箭括麻多智
嗚呼、やっぱり……綺麗だ、『            』

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