ゾロゾロと人が行き交う竹下通り。
真っ黒な制服を脱ぎ捨てて私服に着替えた家入たちはその人ごみの中、流行最先端のスイーツやら食べ物を手に原宿の町を練り歩いていた。
そして家入と歌姫は現代のスイーツに酔う蛇神を暖かな目で見守っている。この蛇神は原宿をお気に召したようで全てのスイーツを食べ尽くさんと躍起になって買い食いをしているわけなのだ。
真っ白な肌と髪と同じ真っ白なタートルネックニットに身を包んだ夜刀神は目にハートをうかべショーケースに並ぶスィーツを眺めている。
迷っているところ悪いが家入達は少し居心地が悪かった。それもそのはず夜刀神の真っ白な容姿に真っ赤に輝く瞳が目立つため道行く人が視線をこちらに向けるのだ。
向けられる視線に気付かないふりをするように携帯をいじることに集中していると視界に白が映る。
手を伸ばしてデコピンをしようとするがこの蛇神なんと今の状態では180cmという同級生のクズどもとほぼ同じ身長を持つため伸ばした手は蛇神の額スレスレで止まってしまう。
そう言って笑って腰を屈めた夜刀神へと手加減なしにデコピンを食らわす。ギュッと目を瞑ってデコピンを受けた夜刀神は女でもクるものがある。
心做しか頬を赤らめてこちらを見つめる男どもが多い気がしたが歌姫の言葉に視線が幾分か気にならなくなった。
なんのことですかー?と言葉を濁し話題を強制的に変える。
夜刀の言葉に納得する。そういえばこの子神だから自分の服は神様パワーで何とかしているらしく買ったりしたことがないと言っていた気がする。それならば決定したも同然だ。
女子3人腕を組み合って歩く、しかし家入は理性と戦っていた。むぎゅうっと腕に感じる重みのあるふくよかな感触に必死になって頭の中で円周率を唱えていた。
歌姫は無になっている家入を密かに応援しながら哀れみの目を向ける。自分があの立場になれば迷わず鼻血を出してぶっ倒れていただろう、と遠い目をしながら想像する。
その後無事お揃いの服やアクセサリーを購入しそれぞれ帰路に着いた。自宅で購入したものを広げてニヤニヤと頬を緩ませる歌姫に一通の着信が入った。
え?これ誰?的な文章を家入が送ってきたのだった。
その後なんやかんやで女子組でお風呂に入りに行ったりし家入を始めとする女子呪術師達が骨抜きにされたとか何とか…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。