雪がパラパラとチラつく中、東京上野駅から電車とバスを乗り継いで五条達は群馬の草津へと降り立った。
カタカタと震えながら五条と夏油を風邪避けにしながら家入はそう呟いて先程から言葉を発しない夜刀へと視線を向けた。
家入の視線の先には、ただでさえ真っ白な見た目をさらに真っ白にさせプルプルと震える夜刀神の姿があった。
五条がバッと夜刀を抱え夏油が先陣を切って宿へと走る。家入はそれに遅れないように着いて行った。
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ぽかぽかと暖かい部屋にある炬燵の中で丸まって夜刀はご満悦らしい。
一安心して夜刀がまるまる炬燵にさしすも入りながら会話を弾ませる。
炬燵の上にあるみかんを手でむきながら夜刀は答える。
神様に弱点といった弱点はあまりないのだ。
神様だからね!
そう言って夜刀は家入に抱きつく。
夜刀は五条と夏油の会話に家入に抱きついていた手を解き二人に詰め寄った。
ね?と必死で懇願してくる夜刀にクズ2人は折れる。
「絶対に無理をしないこと」を条件にわかった、と了承すれば2人の視界が黒で塗りつぶされた。
むぎゅう、と顔面に感じる道の感触にクズ2人は宇宙を背負う。なにこれ、なにこれ…柔ら、かい?いや、癖になる弾力…これは!
その言葉を言った瞬間クズ2人の頭に家入による鉄拳が振り落とされた。
床に倒れ込んで顔を覆い隠してヤバいを連呼する夏油と未だに夜刀から離れようとしない五条に家入がもう一発食らわすまで…あと1秒。
床には大きなたんこぶをこさえたクズ2人が転がり家入はそんな2人を見下ろしながらハッ、と吐き捨てた。
床に転がったままのクズを放って家入は夜刀と一緒に掘りごたつ式の炬燵で宿が提供してくれるお昼ご飯を待った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。