温泉を楽しんだ一年ズ&神様の一行は旅館で貸し出される浴衣に身を包み晩御飯の時間になるまで日の暮れた街を歩いていた。
うるっと瞳を潤ませてそう言えば家入を始めクズ2人もほわりと気が緩む。
流れるような下ネタを放つクズ2人に家入がすかさず鉄拳を落とした。痛みに悶えるクズ2人を放置しつつ家入は心を鬼にして夜刀の食べ歩きを禁止した。
夏油が腕時計を見ながらそう言い夜の街探索は幕を閉じた。
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昼間と同じようにえげつない程の料理を腹にしまい込んだ夜刀は神様パワー(四次元ポケット)から樽酒を取りだし浴びるように飲んでいた。
ンきゅンきゅ、と体にアルコールを入れていく夜刀の横には同じく酒をグビグビと飲み込む家入の姿があった。まるでダイ〇ンの掃除機みたいだ。
夜刀の酒の強さにうっ、と口元を手で抑える夏油は五条の前に置かれたグラスをヒョイっとかっ攫う。チューハイ3%で酔う五条がこれを飲んだら多分タヒぬ。
そしてお気づきだろうか?
なんと夜刀以外未成年飲酒なのだ。
今更すぎてもうツッこむ気力もないが明日地獄を見るのだけは避けたいため夏油はグラスに手を伸ばそうとした五条からグラスを遠ざけたのだ。さすがママン。
五条から遠ざけたグラスは阿呆な五条によって再び五条の手に戻ってしまった。夏油がしまった、と思った時にはもう遅く五条はグラスの中身を一気に煽ってしまった。
ビタンっ、先程まで元気だった五条は一瞬のうちに机とkissをかました。そんな五条を見ながら夏油はチベスナ顔になるしかなかった。
未だ机とkissをする五条をツンツンとつつく夜刀もなんだか様子が変だ。これはもしかしなくとも…
ちらりと部屋を見渡せば大きな樽が2個ごろりと転がっている。あれだけ度の強いお酒を樽2個分飲めばこうなるのも頷ける。夏油はウザ絡み(夜刀だからウザくない、むしろもっと絡んできて!)を受けながら頭をひねらせた。
ゆっくりと五条が顔を上げる。
ふわりとした白髪で顔に影がかかり表情は見えない。
ぎゅう、五条の腕が夜刀を抱きしめる。
しれっと胸に顔を埋めているところを見ると酔っていないように見えるが、安心してくださいめっちゃ酔ってます。
その場にいた五条以外全員が固まった。
なんと五条悟くん…夜刀神様にkissをぶちかましたのである。その一部始終を見ていた夏油と家入はドスの聞いた声で一文字を呟いた。
そして夏油が呪霊を出し五条をぶっ飛ばそうとしたが夜刀によって止められた。
ヨスヨスと五条の頭を撫でつけながら夜刀はそう言う。
酔ってただでさえ真っ赤な顔をさらに真っ赤にして五条はそう言うと「寝る」と言い残して布団が敷いてある部屋へと消えていった。
五条の夜刀への気持ちのガチさに若干引きつつも2人は感心させられた。酒の力を借りた状態だったがあーゆーことを言うのは恥ずかしいものだ。
チラリと先程から動かない夜刀を見てみると…夜刀は固まっていた。真っ白な頬を朱色に染め照れを隠すように目を泳がせている。おめでとう五条、結構響いてるよ、と心の中で唱え家入はふっと微笑んだ。
家入はその言葉にハッとした。
微笑んでそう言った夜刀神から目が離せず「そっか…」と短く返事を返すことしか出来なかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!